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自分のものを抜かれる音がやけに耳につく。
お酒のせいか、触れられる場所が熱い。

「ふッ…」

体を引き起こされると、軽く膝の上に乗せられ、余計間近に視線を感じる。
居た堪れなくて俯くと、智也さんのスーツのズボンが持ち上がっているのがわかった。

…俺に、興奮して、る?

気付いた途端、腰に甘い痺れがはしる。

「ん…は、ぁ」
「大きくなったね…何考えてた?」
「ぁ、ん、っなにも」
「そう…」

くくっと喉を鳴らして笑った智也さんは、器用に自分のズボンと下着を脱いだ。
露になったペニスは、自分のそれとは比べものにならないサイズ。
智也さんは先走りを絡めるように二、三度抜くと、二人のものを一纏めにして抜き上げた。

「ひぁ、あぁあん!」
「っ、いい声、」

括られた両手を首に掛けさせられ、仰け反る上体を何とか支えた。
二人の先走りは混ざり合い、上下する手で白泡を生んでいて、卑猥な状況から目が離せなくなる。

「ぅう、あッ、あ…ん、はぁ」
「一回イけば、楽だよ」
「…っふざ、け、ぁ」

引き寄せられて、耳孔を舌が侵していく。
ぐちゃぐちゃと耳と下から響く音が、手の動きと相まって吐精感を誘う。

「っん、はぁ、ッ」

智也さんの言う通り、一度出せば楽になるのかもしれない。
けど、もう後戻りもできなくなる気がして。
兄のように慕えるいい友人。一緒に過ごした時間はそう思わせてくれたはずだったのに。

「一緒に、イこうか、」

ふっと耳元で吐かれた息は、熱を帯びて耳をくすぐる。
動かす右手が射精を促し、左手の親指が胸の尖りを弾く。

「あ、ぁ、んン、う」
「我慢したら、…だめだよ」

悪戯っぽく笑って唇が塞がれた刹那、ぐにっ、と尿道口に指を突き立てられた。

「ンんぅ!ッんん…!」

酸欠になった脳が快感を選んで、一瞬目の前が白む。
脈打つ二つの熱がお互いの胸板を汚して、あたりの空気が濃密に精の香りを纏った。

「は、ぁ…っ」
「っふ、…上出来、」

もたれた肩の上から愉快そうな声が降ってきた。
そのまま動けずにいると、抱きかかえられて隣の部屋へ移動した。

上出来、って。そう言ったの?

じわりと目の奥が熱くなった。うずめる肩はしっとりと湿って、熱い。
これがせめて、俺の事が好きで及んだ行為だったなら。
そんな希望は、心の声に虚しくかき消される。

好きだったら、『犯す』じゃなくて、『抱く』だろ。

そうだ。好きならこんな、縛って、一方的に欲を吐かせたりしない。
今更ながらそんな事実を突きつけられた気がした。
そして、ベッドに降ろされるなり、宣告は下る。

「…続きを、しようか」

降ろされたベッドで四つん這いにされるが、縛られた両手では手をつくことができず、肘で体を支えた。
これから始まる行為は…初めてでは、ない。
精液で濡れた胸がひやりと冷えた。





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