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どうして。
そんなことを考える間は与えられない。
さっきまで隣に座ってお酒を飲んでいたはずの智也さんは、俺の肩を押さえつけて上に跨って、解いたネクタイで両手を縛り上げる。。
「あ、の…智也さ、」
「何?」
何の悪ふざけですか?と、揺れそうになる声を抑えて訊く。
智也さんは、にこりと先程までと何も変わらない笑顔を浮かべて、言い放った。
「君は今から…犯されるんだよ」
犯されるって…俺が、智也さん、に?
智也さんのその表情からは何も読み取ることができない。
「な、に言ってんですか、」
ふざけないでください、と言い終わらないうちに唇を塞がれる。
割り込まれる舌に歯を食いしばって抵抗するが、乳首を捩り上げられた痛みで驚いた隙に侵入を許す。
「んん!…ふッ、んン、んぅ、」
痛い。怖い。それから、熱い。
熱い舌に歯列をなぞられるたびに、ぞわりと肌が粟立つ。
苦しくて顔を背けようとすると、痛いほど舌を吸い上げられ、逃れられない。
空気を求めて開けた口からは唾液ばかりが零れていく。
「っん、ふッ…、っはあ」
やっと唇が離れ、肩で大きく息をする。
ぎゅっと閉じていた目を開けて、智也さんを見るが、ただこちらを見下ろしているだけで。
さっきまでの楽しい時間との落差に、絶望する。
何で俺は…いつも貪られる側から逃れられないのか。
「やめ、て、くださ、っあ、」
縛った両手を抑えていない方の手で、ズボンの上を撫でられる。
半身が反応し始めていることはとっくに気づいていた。
「やめてって…こんなに膨らませて?」
「あッ、ん」
一番出っ張った部分を指先で引っ掻かれ、思わず腰が揺れる。
形をなぞられるたびに苦しさは増す。
「っひ、あ、」
「…こっちも勃ってるね」
半身をなぞる手は止めずに、シャツを捲り赤くなった乳首を弾く。
キスをしながら捻られていたそれはもうぷくりと腫れてしまって。
「やぁ、…ッあ」
腫れた尖りを舌で捏ね回されると、腰にじわりと快感が広がり、下半身を撫でる感覚に繋がっていく。
「 苦しそうだね…楽になりたい? 」
「…ッや、だ」
嫌だ。こんな。
自分の意思と関係なく堕ちていく躰が、たまらなく嫌だ。
またキスで口を塞がれる。きっと拒否の言葉を言ったせいだ。
キスに気を奪われている間に、ズボンもトランクスも剥ぎ取られて、
「ッん、ぅ、あ!」
唇が離れた瞬間、先走りを零す半身を握りこまれた。
与えられ続ける刺激に反り返った半身は、だらしなく先走りを零している。
上を見れば、こちらを見つめる視線とぶつかる。
その瞳は欲を剥き出しにしていて。
綺麗だ、とさえ感じてしまう。
「ともや、さ、」
呼ぶと、応えるように軽いキス。
「…そろそろイキたい?」
強弱をつけて先走りと抜き上げられる音が、グジュグジュと室内に響く。
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