episode.4


 がばっと起き上がって、どこがどうとは言えないけど、成長したっぽい天使くんのまわりをぐるぐる回る。

 まっすぐ、背筋を伸ばして立つ天使くんは悠々として、かわいいというよりかっこいいほうに傾いている気がした。嘘だ。あの天使くんがかっこいいって、そんな。信じない。
 私のかわいい天使くんはいずこ!?

 もう二、三周してみた。

「……なつきさん、緊張感無くなるから止めてください。オレ、これでも決めてきてるんですよ」
「えっ、うん。決まってるよ」
「……」

 見上げた先の大人びた雰囲気の天使くんに呆れられた。その仕草にはかわいさが覗いていて、ほっとする。

「よかった。私のかわいい天使くんだ」

 天使くんが綺麗な目を見開いて、私はというと、口をついて出た言葉に自分でもびっくりしていた。金色のまつげに彩られた色素の薄い瞳の奥、そんな私が見えた。

「ち、違う。今のはあれ。違うよ、天使くん」
「違いませんけど」
「言葉の綾的な……って、え? いま、なんて?」
「オレはなつきさんの守護テンシだから、さっきのは間違ってないって言ったんです」

 守護テンシ?

 天使くんはひどく真面目な顔をして髪の毛をくしゃくしゃした。頭を掻いたって言ったほうが合ってるかな。とにかく、「うーん」って唸るような顔になった。

 守護テンシというのはよくわからないけど、テンシだけならわかる。羽が生えてて、頭の上に輪っかが浮いてる、あれだ。

 天使くんがテンシ?

「いいですか、なつきさん。アイツには気をつけてください」

 確かに天使くんはベリーキュートで、テンシだって言うならなるほどって思ってしまうくらいプリティーだ。だってまさにテンシみたいだから。

「なつきさん」
「ふえ?」

 見下ろした視線の先にいた天使くんは私に両手を伸ばしている途中で、はっとしたときにはもう、私の顔は天使くんの両手にサンドされていた。

 首筋がちりちりした。

「気持ちは本物です。だから、オレに手出しはできない。でも、アイツはダメなんです。あの、大門って男だけは!」

 ──え。

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