+ + + 帰宅する途中、例の公園へ立ち寄った。これはもう日課だ。お気に入りのベンチに腰掛けて一息つき、明日とあさっては何をしようかと思考を巡らす。書類を書き上げて、ああ、お母さんの車の洗車の手伝いでもいいな。晴れだと聞いているし、思い切って布団を干すのもありだ。もしくは、新しい料理を作るために料理本を図書館から借りてくるとか。やりたいことはたくさんある。 すっくと立ち上がって帰路に戻った。 「おかえり、ことり! 今日の夕ご飯は何と、ことりの好きなオムレツです!」 そう、わたしは。 お母さんと幸せに暮らせればそれで良いのです。 「うわ、これケチャップで何て書いてあるの?」 「やったね高校入学」 「へ、えー……」 にへらっと笑う彼女。 ケチャップ文字を崩すのは何だかもったいない気もしたが、食べなければお母さんが悲しむだろう。なぜなら、これはわたしのために作られた料理なのだから。この潰れた文字をしっかり覚えておこう、そう思って手を合わせた。 オムレツを平らげ、歯磨きを済ませて風呂に入り髪を洗う。入浴後は髪を乾かしながらニュースを少々視聴して、お母さんにアルバイトの話をした。 一週間の疲れが出たのだろう、その日は猛烈に眠かった。ごろんとベッドに寝転がるとすぐに夢の世界へ落ちた。 SIT:01 終 [しおりを挟む] ← |