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「ふ、あっ……」
6回目の空イキをしてから結構な時間が経った。
ただあと1回という先程までの辛さを考えたら楽なはずなのに、イく気配がない。
むしろ体が無意識にイこうとしていないのかもしれない。
「ゆ、きさ…」
5回目あたりから「仕事するわ」と言って、簡易の机と椅子を持ってきて部屋の隅でカタカタとパソコンを叩く結城さんを呼んでみた。
「7回終わったの?」
俺に背を向けたまま仕事をして、今もなおこちらを見ずに声だけ反応する。
「や、…ななかいめ、イけな、」
だんだん頭がぼーっとしてきて、でもこれを終わらせないと休めなくて、とりあえずあと1回イきたくて、でもイけなくて…もう思考がぐちゃぐちゃだ。
するとパタン、とパソコンを閉じてこちらを歩み寄ってきて俺の前にしゃがみこんだ。
「あと1回か…聖夜はどうしてほしい?」
頭や頬を撫でられ、甘やかす鬼畜な彼は俺にある一声を求めている。
それは俺に刻み込まれた教育…
「ゆ、きさんで…イかせて」
中心は彼、俺は性奴隷と言っても過言ではない。
彼に従い、彼を敬い、彼を好く…
それが俺と彼の常識…
「…かわいいね、聖夜」
結城さんは俺がバイブを持つ手に重ね、思いっきり突っ込んだ。
強度はもちろんMAX
「ひぎぃぃぁぁああああっ!!」
自分とは違う動かし方にありえないぐらいの絶頂が押し寄せ、俺は気を失っていた。
「あ、おきた?」
ゆっくり目を開けると真横に椅子に腰かけた結城さん。
窓なんて無いから、時間は分からない。
「今、夜の8時。ご飯いる?」
「ん…ほしい。結城さんの手作り食べたい」
「俺の手料理、ね。楽しかったし、作ってあげるよ」
結城さんはかなり料理が上手くて、一度ご馳走になったときに病みつきになった。
もう一度食べたくてお願いしてみたら、了承してくれた。
「もう少し寝てていいよ。できたら起こしてあげる」
見送ってから、まっすぐ上を見た。
ああ、地獄が終わった…
でもあんなプレイに興奮する俺も大概だ。
あれが地獄なら、結城さんは閻魔大王?
「へんなの…」
バカなこと考えてたら笑けてきて、少し深めに布団をかぶりなおす。
『できたよ』
温かい食べ物を持ってきた結城さんがやってくるのを想像して、ゆっくり眠りについた。
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