digimon | ナノ

02 「私の方が、燃えてるんだぜぇぇぇえええええっ!」灼熱!バードラモン

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「ねぇ、空!ピョコモン達がみんなにご馳走してくれるって!」


 ピヨモンがそう言いながらみんなに駆け寄った。なんという僥倖!これには空も嬉しそうに笑顔を見せる。


「本当!?」

「やったああ!飯ーっ!」

「ひゃっほーぅ!」

「ピョコモン様大感謝!」

「腹いっぱい食っちゃおうぜ!」

「一体どんなご馳走なんでしょうね」


 さすがにみんなも長時間のサバンナ超えでお腹が空いていたらしく、目を輝かせて口々に喜ぶ。食料も少なくなってきた今本当に助かる!
 そんな中、タケルがみんなの後ろを走り抜けた。


「水だー!噴水があるー!」

「え、本当!?」


 タケルが走っていく先には、このこじんまりした村には似つかわしくないような、思ったよりも大きい立派な噴水があった。
 この暑い中水は大変貴重である。やったー!これで勝つる!


「この辺りはみんなミハラシ山に水源があるの!」

「とってもおいしいんだ!」

「この水があの有名なミハラシ山のおいしい水ですわ」


 ピョコモン達が言いテントモンも付け加えて説明をする。ってあの有名なって言われてもわからへんがな!


「ミハラシ山?」

「あの山ー!」


 タケルがピョコモン達に聞くとピョコモン達は一斉に声を揃えて方角を示した。
 この場所からもよく見える平たい形の山だ。あの青々と木々が生い茂る豊かそうな低山がミハラシ山というらしい。きっと読んで字のごとく見晴らしが良いんだろう。


「ま、なんでもいいや!喉渇いちゃって……」


 名所らしい山よりも、今は水分補給だ。太陽光を反射してキラキラ光る水面に誘われる。
 私はそう言いながら噴水に近づいて水を飲もうとした、その時。

 ――――ゴオッ!!


「ぎゃあああああ!!」

「うぁあああっ!?」


 さっきまで流れていた透明な水はどこへやら、噴水からは爆音と共に炎が噴き出した。


「危ねぇぇえ!間一髪だったぁああ!前髪がチリチリに……!」

「そんなぁ、喉渇いてたのに!」

「まだお水飲んでないっ!」


 噴水から立ち上がる火柱にみんなも驚いて見上げる。
 てかタケルもミミもそんな事言ってる場合じゃないよ!?噴水が火山のように!あっちもこっちも熱すぎる!とんだ奇跡体験である。アンビリーバボー。


「どういうことだ!?」

「大丈夫!あっちに池があるから!」


 太一が尻餅をつきながら叫ぶように言うと、ピョコモン達は池があるらしい方に走りはじめた。


「行ってみよう!」


 太一はすぐに立ち上がってみんなもピョコモン達の後を追う。
 しかし、


「あぁっ!?」

「そんなぁ!」

「水が無い……!?」


 着いたそこには水なんてものは跡形も無く大きな池だったであろうクレーターと、その真ん中にあるボロボロの船しかなかった。え、短時間でこの量の水が全部蒸発したの!?
 次に、というか最後に残された井戸は水を汲もうと入れ物を下ろし、上に上げると入れ物は焼けて無くなっていて直後一気に火柱が上がった。まじすか。
 すると一匹のピョコモンがやっと思い出したのか急に思い付いたように言った。


「実はさっきミハラシ山に何か落ちるの見た!」

「俺達が見たあれか」

「あぁ、ゴキブ」

「黒い歯車ですね」


 ヤマトが思い当たるように言い、私が言おうとすると光子郎が言葉をかぶせた。
 自重しろってことですね、善処します。


「でもミハラシ山に歯車が落ちたからってどうして……?」

「何が起こってるんだ……」


 空が疑問を口にして考え込み丈は不安そうに眉をひそめる。


「この辺りは全てミハラシ山の泉が水源なの!だからミハラシ山に何かあったら水は全部干上がっちゃう!」

「でもミハラシ山にはメラモンがいるの!」

「ミハラシ山はメラモンが守ってくれているはずなの!」

「メラモン?」


 ピョコモン達が喚くように口々に言う。その言葉のなかでもメラモンという言葉がひっかかる。
 私の脳裏に浮かぶのは、そのメラモンとやらが歯車の影響で何かあったということだ。
 その直後ミハラシ山を単眼鏡で見ていた太一が急に声を上げた。


「……なんだあれ!?」

「メラモンが山から下りてくる!」

「メラモンが山を下りてきた!」

「いつものメラモンじゃない!」

「まじか。ヒーローが悪役に転職とか笑えないって」


 ピョコモン達がわあわあと騒ぐ。どうもメラモンという新たなデジモンがいるらしい。
 周りがうるさい中、遠く前方のミハラシ山からやまびこのようにわんわんと反響して聞こえてきた声。おそらくピョコモン達の言うメラモンの声だろう。


「オレは今、燃えているんだぜぇぇええっ!!」


 何言ってんだアイツ。テニスプレイヤーかな?
 というか、むしろ聞き捨てならん。


「私の方が、燃えてるんだぜぇぇぇえええええっ!」

「感化されて吠えないでください!」


 丁寧にツッコミしてくれる光子郎に感謝。
 そうこう言っている間にもメラモンは山を下り森も燃やしながら抜け、ピョコモンの村めがけて走ってくる。
 そこでいち早く太一が我に返りみんなに向かって叫んだ。


「みんな逃げろーっ!」


 その声を皮切りに、私達とピョコモン達はミハラシ山の反対側へ一斉に走りだした。
 しかぁーし!


「ここで逃げちゃあ漢が廃るってもんよ!どっちが熱く燃えているか、白黒決着つけようじゃねぇか……ここで迎え撃つ!」

「こんな時に格好つけないでください!」

「灯緒さん早く!危ないよ!」

「あべしっ!」


 私が仁王立ちすると案の定光子郎に怒られ、そしてタケルにまさかのタックルをされそのまま服を掴まれ無理矢理走らされた。
 うおおおやめろおおお!漢にはやらねばならん時があるのだよ!てかタケルのタックル何気に効いた……!やりおる!

 みんなと仕方なく妥協した私はとりあえずピョコモンの村の干上がった池の底にある船に隠れることにした。村から池までピョコモン達の大行列ができる。
 え?これみんなあの小さな村にいたの?やだ、この村ピョコモン多すぎ……!?


「みんな、ここに隠れるんだ!」

「早く早く!」

「足元に気を付けて!」

「大丈夫かみんな!」


 みんなは船まで走り先に着いた上級生組がピョコモン達を船へ誘導しはじめた。
 入り口でピョコモン達を誘導する太一と空、船の上にはピョコモン達を甲板へ運ぶヤマトと丈がいる。


「タケル、早くしろ!」


 ヤマトが船の上から遅く来たタケルを呼んだ。
 一緒に走ってきたタケルと光子郎が船まで走り2人は船の中へ、私は船の手前でピョコモン達を誘導する。
 にしてもピョコモン達、足が短い割に思ったよりは早いのな。


「早く早く!船まで走れー!」

「みんな!こっちに逃げるのよ!」


 私がピョコモン達に大声で言うとその声にかぶせるように私の頭上から聞き慣れた声が響く。
 そこにはピヨモンが一生懸命にピョコモン達を誘導していた。


「ピヨモンも早く逃げて!」

「ピヨモンまでやられちゃう!」

「まだ大丈夫!ピョコモン達、アタシの仲間じゃない!」


 ピヨモンは必死にピョコモン達を勇気付けるように誘導していた。
 見捨てないその精神、ピヨモンすごいな!……まてよ、もうそろそろメラモンが近いんじゃないだろうか?


「あのバカ……!みんなを助けてるんだ……!」


 船の入り口にいた空もピヨモンが最前線にいることに気付き、すぐにピヨモンの元へと走りだした。


「ピヨモンっ!」

「空、どうした!?」

「戻ってこい、空ー!」


 太一やヤマトが制止の声をかけるが空は聞かずにそのまま私の横を走り抜けようとする。
 どうする、ここは止めるべきか?いや、空のピヨモンを思う気持ちを否定したくない。
 ここで止めれば否定も同然か。危険を承知で空は走っているんだから。なら、行くしかない!


「空ちゃん、気を付けて!すぐそこまでメラモンが来てるはず!」

「灯緒ちゃん……!」


 空は驚きながら私を見た。


「早く急いで!ピヨモンが危ない!」

「……ええ!」


 しかし空は走りながらピヨモンを見た瞬間ピヨモンの背後に迫ってきているメラモンに気付き、目を見開いた。


「ピヨモン、後ろ!」

「あっ!危ないっ!」


 最後のピョコモンが無事に通り抜けていくのを見てほっと安心していたピヨモンは、空の声でメラモンに気が付くが遅れた。
 ピヨモンが振り向いた瞬間メラモンが蹴りを繰り出す。


「ピヨモンっ!」


 メラモンに蹴られて体が宙に浮き、落ちていくピヨモンを見て空は悲鳴に近い声をあげると一目散に駆け出した。


「ピヨモーーンッ!!」


 ピヨモンが地面にぶつかる寸前で空が両手を伸ばして受け止めた。
 空は体を起こして腕の中のピヨモンを見つめる。空の心底心配そうな表情にピヨモンは少し嬉しそうに問い掛けた。


「……空……ピヨモンのこと、助けに来てくれた……?」

「もちろんだよ……大事な、仲間だからね!」

「ありがとう空……!」


 空が目に涙を浮かべながら微笑むとピヨモンも嬉しそうに笑った。あらあら、妬けちゃうくらい仲が良いじゃないか。
 そんな2人の頭上でボォッと炎が燃え上がる音がした。見るとメラモンの手のひらの上には炎の塊が浮いている。あんにゃろう、この感動の対面も完全無視で攻撃する気か!


「にゃろめ!いいところで!」


 私が悪態をつくと、ピヨモンは空の腕から飛び出してメラモンに向かって攻撃を繰り出した。


「空、隠れてて!今度はアタシが空を助けるっ!マジカルファイヤー!」


 ピヨモンの攻撃はメラモンに見事命中するがダメージは全くないようだ。
 むしろピヨモンの攻撃の炎を吸収したのか、メラモンの炎の体が一回り大きくなる。そんなのってアリ!? 


「な、なんで!?でかくなってね!?」

「バーニングフィスト!」


 メラモンが手のひらの炎の塊をピヨモンに投げつける。
 ピヨモンはメラモンの攻撃をまともに食らってしまい、ピヨモンの体は地面へと落下していった。


「ピヨモーーンッ!」


 落ちていくピヨモンを見て空はがくりと肩を落とし、溜まっていた涙を流した。
 私はすぐに空に駆け寄って肩を抱く。


「ピヨモン……あなた……」

「空ちゃん、しっかり!」


 そこでやっと他のみんながピヨモンの助太刀をと声を上げた。


「ちくしょう……!」

「みんなもピヨモンを応援するんだ!」

「行けっ!テントモン!」


 太一達の声にデジモン達も頷くとメラモンに向かって攻撃をぶつけはじめた。
 よっしゃあ!みんなで袋叩きだ!


「ベビーフレイム!」

「プチサンダー!」

「プチファイヤー!」

「エアショット!」


 みんなが次々に攻撃を繰り出すが、メラモンはまた吸収したのか巨大化した。
 って炎攻撃以外も吸収するの!?チート強すぎません!?


「ちょ、でか過ぎんだろ……」

「メラモンには炎は効かないのか!?」

「みんなのエネルギーを吸い込んでいるんですね……」


 メラモンは最初よりも数倍も体が大きくなっており、光子郎の言うとおり吸収をしているなら力も強くなっているだろう。
 更にメラモンは池の底へ飛び降りようとした。こっちくんな!


「俺は燃えてるんだぜーっ!!」


 だから私の方が……って言ってる場合じゃない!
 メラモンは叫びながら降りてくる。そして一番メラモンに近いのは空だ。
 普段のメラモンを知らないが、みんなの攻撃を吸収した状態のメラモンの力は当に未知数だ。さすがに逃げなきゃ危険すぎる!


「空ちゃん立って!」

「………っ!」


 空はピヨモン傷ついた事でのショックとメラモンに勝つすべがないという現実に混乱しているようだ。
 くそっ!こうなりゃパートナーの力が頼りだ!


「ピヨモン、立って!」


 私は離れた場所に倒れているピヨモンに叫んだ。


「空ちゃんが危ない!ピヨモンッ!」

「っ……空……!」


 力を振り絞るようにピヨモンは起き上がると鋭い眼光でメラモンを見上げた。メラモンは叫びながら私達目がけて降りてくる。


「燃えてるぜぇえっ!」


 遊んでいるかようなメラモンの声とは反対にピヨモンの凛とした声が響く。


「空が危ないのに……こんなところで負けてられない!」


 ピヨモンの決意の瞳に炎が宿る。そして同時にピヨモン自身と空のあの小さな機械が眩しい光を放った。


「――――進化だ!」

「え……!」

「ピヨモン進化!――バードラモン!」


 空が唖然とピヨモンが進化した姿――――バードラモンを見上げる。
 全身を真っ赤に燃え盛る炎に包んだ巨鳥の姿のバードラモンは降りてくるメラモンの体をその巨体で受け止めた。


「ピヨモン……バードラモンに、進化した……」

「これはまた、でっかいなぁ!」


 私は呆然とバードラモンを見上げながら呟いた。
 バードラモンは上へ飛ぶとそのままメラモンを池の外へ叩き落とした。
 しかし落とされても余裕なメラモンはまた叫んだ。


「オレはっオレはぁっ!メラメラに燃えてるんだぜぇぇええっ!」

「んなこたぁ聞き飽きたぜ!燃えに燃えてんのはこっちのバードラモンだっての!」


 熱い、熱いぜこの戦い!炎と炎のガチンコバトルだ。
 メラモンはバードラモンを睨み付けると反撃を開始した。先程と同じように炎の塊を投げつける。


「バーニングフィスト!」

「バードラモンっ!」


 空がパートナーの名前を叫ぶ。
 メラモンの攻撃はバードラモンの翼に当たるが大したダメージはないらしくバードラモンは上昇し旋回した。
 空を行くバードラモンにメラモンは連続して攻撃を放つがそれも大したダメージはない。


「バードラモン、頑張って!」


 再び空がバードラモンに声援を送るとバードラモンはその声に応えるように一気に上昇し、技をメラモンに向けて放った。


「メテオウィング!!」

「おおおおおおおおおお!!」

「いっけええええっ!」


 バードラモンの翼から放たれた無数の炎の塊がメラモンを襲う。
 まともに攻撃を食らったメラモンは苦しげに呻き声を上げると徐々に元の大きさにまで戻っていった。
 すると突然メラモンの体から見覚えのある黒いモノが飛び出し、砕け散って宙へ溶けるようにして消えた。


「あれは……!」

「黒い歯車!」

「あぁ……」


 光子郎を筆頭にみんなも黒い歯車の出現に驚いていた。その中でヤマトが驚きを具体的に口にする。


「あの黒い歯車がメラモンの体の中に入ってたんだ!そのせいで……」

「バードラモンの勝ちだぁ!」


 みんなが真剣な顔をしているなかタケルは素直に勝った事を喜び、明るい声を響かせた。
 そうだ、今は小難しい事なんて考えず危機を乗り越えれた事を喜ぼう!


「ピヨモンがバードラモンに進化して、あたしを助けてくれた……!」

「空、空!空ぁ!」


 空はまだどこか唖然と呟く。そんな様子は気にせずにバードラモンから戻ったピヨモンは嬉しそうに空の腕へ飛び込んだ。


「空ぁ!」

「ピヨモンありがとう!本当に……!」

「ピヨモン、当然のことしただけだよ!だって空がだーい好きなんだもんっ!」


 ピヨモンがそう言って幸せそうに抱きつくと、空も笑顔でピヨモンを抱き締めた。大好きの力こそ無限大なのだ。











 周囲の至るところからごうごうと燃え上がっていた火柱も消え収まり、辺りは夕焼けで赤く染まっていた。炎で照らされて灼熱地獄ではなくなったことに安堵する。
 そして、気絶から目が覚めたメラモンは既に正気に戻っていて、冷静に現状を把握したようで私達に事情を話してくれた。


「空から黒い歯車が落ちてきて、それから後はよく分からない」


 しかし、事情と言っても詳しい情報は特にわからず、結局黒い歯車とやらがメラモンを暴走させてしまった事くらいしか分からなかった。
 そうした後、メラモンはまたミハラシ山を守るためにミハラシ山へと帰って行った。落ち着いたら随分と話の分かる、ボコったことが申し訳なくなる程のナイスガイであった。
 こうして、メラモンをピョコモン達と一緒に見送った後。

 ――ぐうぅぅ〜……。


「あ……」


 誰かのお腹から虫が鳴いた。それを聞いて空に抱かれたままピヨモンが思い出したように声を上げる。


「空!ピョコモン達にご飯ご馳走してもらう約束!」


 ピヨモンの言葉にみんなも約束を思い出し、更に自分の空腹感も思い出す。
 そしてみんなはピョコモン達が振る舞ってくれるご馳走を期待して待った。
 奥さん、事件です。


「ご馳走ってこれかよ……」


 第一声、太一が渡された器を見つめながらがっかりしたように言った。


「何これ?雑穀?」

「さぁ……」


 私も渡された器をまじまじと見る。
 なんなんだろうこれ。五穀米みたいな米っぽいようなそうじゃないような。あ、あれか!古代米とかいうやつ?


「空、どうして食べないの?おいしいよ!」

「そうそう。ミミも食べたらいいのに」

「人間は普段こういうの食べないのよ……」


 ピヨモンやパルモン達はもりもりと美味しそうに頬張っており、逆に食べない子供達を不思議そうに見る。
 反対に空はげんなりと器を見つめて食べるのを躊躇っているようだ。ミミも顔をしかめて食べたくなさそうにしている。
 ま、私は食べるかな!山に行くと必ず蛇苺とか食べるしこれくらい平気だ!


「んー、案外うまいよ」

「もう食べてる!」

「騙されたと思って食べてみ?珍味みたいな微妙な味だから」

「……それあんまり食べたくないんだけど……」

「グルメプライドで腹が膨れるかー!カスミ食べるよりはマシだと思うよ!」


 私が丈と話しながらもっさもっさ食べていると私を見ていたタケルがその謎の食べ物を一気に頬張った。


「……食べちゃおう!」

「背に腹は代えられねぇか」

「食っちゃお食っちゃお!」

「えぇー……まじ?」

「うん、よく噛めば食べられないこともないよ。顎疲れてきた」


 タケルに続きみんなが食べはじめるとミミは信じられないと嫌そうな顔をする。結局ミミ以外全員が食べはじめ、ミミは思わず叫んだ。


「いやーっ!あたしやっぱりお家に帰りたいーっ!」


 そんな本人には切実な願いの叫びだったがみんなはその叫びに笑った。
 そんな光景に私もつられて笑うと近くから誰かに呼び掛けられた。


「灯緒ちゃん」

「ん?どしたの空ちゃん?」


 近くに座っていた空が近くに寄って小声で言う。


「昼間はありがとう」

「またまたぁ。いつもだけど、私お礼を言われるような事はしてないよ。でもどういたしまして!」

「ふふ。……私ピヨモンとうまくやっていけると思うの、灯緒ちゃんの言う通り」

「あったり前だよ!」


 私と空は笑いあった。


「だって空もピヨモンもお互い大好きなんでしょ!」

「アタシがどうかしたー?」


 私が声の音量を上げて言うとピヨモンが聞きつけて首を傾げながら傍まで来た。
 そして私が話すとピヨモンは隣の空に抱きついた。空も嬉しそうにピヨモンを撫でる。
 幸せそうな2人に私も笑った。


「ピヨモン、空のこと大好きだよね!って話!」

「うん!」



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