〜2010.04.16


「…何だ?」

ふわりと一瞬鼻を掠めた甘い香りに辺りを見渡す。
すると視界に捉えられたのは黄色くて小さな花。
空き瓶に水を張って一輪だけ挿されたその花は小さいながらも懸命に上を向いている。

「アイツの仕業、か?」

緩む口元を隠すこともせず、人差し指でやさしく花をつつく。
みずみずしい生命力に心が暖かく潤うみたいだ。

残った仕事は家でやろう。
今はとにかくアイツに会いたい。


「ありがとう!」


とびっきりの笑顔で伝えてやろう、きっとアイツも笑ってくれるはずだから。
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