無邪気なくせに、君は悪魔だ


(大嫌いよ)
(知っています)




「ぎゃっ!!!
 何するの、近づくな、
 この冷酷男、!」

「ぎゃって…
 もうすこし、かわいく叫べないんですか。」

「あんたに可愛く
 する必要ないじゃんか!」


ランスが近づけば
ユリは後ずさる。
先ほどからのそれの繰り返しだった。

さてこの男とこの女、
両方ロケット団の幹部である。


「…ユリ
 この私をそこまで嫌うのはあなただけですよ。
 というより私は仮にも貴方の恋人なのですが」

「うるさい!黙りなさい!
 この、性悪男ぉーー!!
 僕の神聖なる部屋から出てけ!」

「でていけるなら、出て行ってますよ、」



ランス、
ロケット団でもかなりの人気を誇る男であった。
さて、今日はクリスマス。
皆さんお分かりになるだろうか、



「廊下に出ると、
 部下たちからプレゼントを押し付けられるんですよ。」

「自慢にしか聞こえないの、! 
 でてってよー!僕には関係にことだわ!」

「その一人称どうにかなりませんか」
 女性でしょう」

「あんただって、男なのに
 私っていってるじゃないか!?」

「私はいいんですよ。」

「この唯我独尊!!」


ぎゃあぎゃあ、騒いでユリはランスに
クッションやら、ピンプクドールやらを投げつける。
その時だった。
コンコン、とノックオンが響いた。

ユリはやったっ!とつぶやいて、ドアを開けた。


「はーい、だれだれ、?」

機嫌がよさそうに笑顔を浮かべる彼女が迎えたのは
下っ端の男の子だった。
この男の子は下っ端だが、ユリの幼馴染で、
すごく仲が良かった。


「わっ、下っ端君じゃんか!」

「その呼び名やめろって言ってるだろぉ!?」

「いいじゃないのー、
 入る、?」

「んじゃ、おじゃましまーす。」



入ってきた下っ端をランスは上からにらみつける。


「貴方は私の部下でしたねぇ、
 此処に何しにきたんですか?」

「いや、その、」


おびえている、下っ端を見て、
ユリはランスの背中をばんっとたたいた。
ランスは声にならない叫びを
上げて背中を押さえた。


「ランス、僕のかわいい下っ端君を
 脅かさないでよ!」
「うわ、ランス様痛そう…」


自分のためにたたいてくれたというのに
ランスを下っ端は哀れんでいた。
ランスはというと、
ぶっすー、その言葉が似合う顔になっていた。

「ユリ、私はどこへ行けばいいんですか、」

「え、どこにでもいきなよー?」

ユリの適当な返事に
青筋がランスの顔に浮かんだ。
冷たい視線がユリを突き刺すが
ユリはものともしない。
だがその態度は、下っ端が、言った一言によって
いとも簡単に崩されてしまう。



「そういえば、さっきおんなどもが
 ランス様を探していましたよ。
 それで、もし、女と一緒にいたら
 その女つぶすって。」


サーッとユリは冷や汗を浮かべて、
無理やり、笑って、下っ端に問うた。


「それ、さ、
 今、ランスが私の部屋から出てくと、」


「まずいよなー、やっぱり」



重苦しい首をまわしてユリがランスのほうを向くと
ランスはにやりと笑っていた。
やられたっとユリ派心の中でどれほどおもっただろうか。
立場逆転ということだ。


「ユリ、さぁ、じゃあ、さっき言われたように
 私は出て行きしょうか。」


ランスがすっと立ち去ろうとする。
もちろん、意地悪のため。
ユリはがしっと、ランスの足をつかんだ。


「いっ、いてもいいわよ!
 ここに、」


その口調は強がりとしかいえなかった。
ランスはそんなユリをみて、
ふっと笑った。


「いいですよ?
 べつに、でていきますよ。
 先ほどから私に出て行けといってたじゃないですか?」

「うっ、」

「わたしに、お願いしますランス様といえば
 考えてやらないこともないですが、」

「っ、」


ユリは悔しそうな表情でランスを見る。
一方ランスは意地悪な笑みを、浮かべて
ほらっとユリのあごをくいっともちあげる。


「う、ランスの意地悪!!!
 馬鹿、もういいわよ!!!
 どこへでもいっちゃえ!」


うわああん!と下っ端にユリはだきついた。
普通ならば抱きつかれたほうはあわてるものだが、
下っ端は慣れてるのかよしよし、とユリの頭をなでた。


「あー、大丈夫だから
 ほら、あの女子らには
 俺からいいわけしとくよ、
 仮にもユリは幹部なんだから
 へーきへーき、」


下っ端は優しく声をかけた。
ランスはふたたび、機嫌が悪そうな顔をした。


(出て行くつもりなど、もうとうなかったのですが
 出て行くしかないようですね、)


ランスは「では、」と一言言って
ドアのほうに近づいていく。
ドアノブに手をかけたところで
腕を何者かにつかまれる。
ユリである。


「まだ、なにか?」


ランスが不機嫌そうに言えば、
ユリは一生懸命背伸びをして
ランスの頬に口付けた。


「っ!?///なにするんですか!?」


「本当は私と二人ですごしたかったんでしょ?
 後で部屋にいったあげるから、
 またね、冷酷幹部さん!」


それじゃねと、ユリはドアを閉めた。



(本当小悪魔とはこういう人をいうんですよ)
(かなわない、)


そうランスはおもったのだった。

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