それだけで


(君に、)
(見返り、なんて)



ユリ、…



私を呼んでる、
声が聞こえる、
ランス様、の声なようなきがする。
私、天国にこれたのかな、
悪いことばっかりしていたのに、
でも、ランス様がいるなら、天国だ、
ぼーとした、頭のなかはからっぽで、
視界も歪んで見えた。

みどり、黄色、

ここは、花畑、?

くろ、しろ?

視界に移る色たちは次第にはっきり姿を
見せた。


「ラン、スさ、 …… 
 いっ、!?」


胸下の痛みに胸下を見ると
包帯が巻かれている。
そして、ここはベットの上。
ベットの隣にはいすに座ったランス様。


「私、生きて… る、」


自分の手を見て
体全体を見て、
違和感を感じた。
いきてる、?
体に触れられる
当たり前のことだけど、ベットを
きちんと触れている自分に、
びっくりした。
生きてる、私。


「あの、ラ、ンス、さ、」


いすに座ったままうつむいて何もいわない
ランス様にどういえばいいかわからなかった。
ランス様の帽子と髪にかくれて、
表情さえわからない。
ドクン、と胸がきしんだ。

まさか、任務失敗した、?
書類を汚し、た
ううん、書類を間違えた

警察に見つかった、?



「ランス、様、すみませ、ん
 私、なにか失敗を、っ?」


握りこぶしを二つ作って
あやまろうとしたら、
ランス様が、すごく近くに見えて
暖かさに包まれた。


「ラ、ランスさま、?」

「なぜ、貴方が謝るのですか……っ!?」

「ラン、え?」



泣いてる、
ような声、に聞こえる、でも、
表情は伺えない。



「どうして、
 任務を遂行したのですか、!?
 途中で無理だとおもわなかったのですか、!?」



私を抱きしめる手は震えている。
強く抱きしめられえるけど、
私の傷には響かないように。優しく、


「どうして、このような任務を私に、
 そうおもいました、けれど
 私はランス様のお役に立ちたかった、」
「そこまでして、どうして、
 私のために、……」
「貴方に、幸せに
 なってほしかった、すこしでも、
 それだけで私には十分なのです」
「何故っ……」


(私は貴方を捨てたのに、)



「何故、泣いているのですか、
 ランス様、…?」
「っ……」



(以前、アテナに彼女は白百合のようだと、
 いわれた覚えがある。そのとき、仕事もできない
 彼女を白百合、と呼ぶアテナを笑ってしまったけれど、
 アテナは上司の私より先に
 彼女を、を見つけ出していた。
 強くて、優しくて、美しくて、可憐、はかなげで、
 そんな貴方は、白百合だ。)

そんな、真っ白な疑うことを知らない彼女を私は
利用した。傷つけた。
幹部に裏切られた、
そんなふうに微塵にも彼女は疑わなかったのだろう。


「貴方は、私の役に立つなんて、
 もっと自分を大切にしなさい、…」
「、は、い、。けれど、ランス様、」
「今回の任務、
 貴方が成功するなど、
 誰も思っていなかった。」
「え、」
「失敗するだろう、と
 命を落とすだろうと、
 そう思ったいた。
 ただ、任務を遂行した、
 その事実を残すためだけにっ…
 それだけのために、貴方を利用した、…!」
「りよ、う、」



最低だ。
最低だ、私は。
けれど彼女は暖かい声で言った。
神父よりやさしい音色だった。


「私は、貴方の役に立てた。
 それだけで、嬉しいです。
 利用でも、何でも、
 それだけで、」

「っ、…」



(部下を守れる力がほしい、強さがほしい、
 そのほかは何一ついらないから、)



fin,

 

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