千の言葉を重ねるよりも



「アポロ、
どうしたの、こんな時間に」


愛しい彼女は浮き世離れした美しさだった。
その美しさをつくりだしていたのは彼女の余命かもしれない。
医者にいつどうなっても分からない、そう告げられていたのだ。
所謂、不治の病。

儚く、可憐だった。



移り病ではないので、と
最後に残された時はアジトで過ごしたい、彼女はそう言った。
我々幹部もそれにうなづいた。


「ユリ、」


私は夜中に彼女の部屋に行った。
そして今に至るのだ。


「なに?」


「大丈夫ですか、?」


「うん、ヘーキだよ。
でも、ロケット団が大変な時に、ごめんね、
一緒にロケット団復活宣言しようってやくそくしたの、にね、」



守れなくなっちゃった、と彼女は笑った。
その笑顔が愛しくて悲しくて、


「愛していますよ、ユリ、」

「うん、」

「好きで、愛しくて」

「うん、」

「だれよりも大切で」

「うん、」



私の言葉にユリは弱く返事をするだけだった。
彼女がそれしかしないのは、私が嫌いだとかそういうことじゃないのは容易に察知出来た。


彼女を引寄せ抱き締めた。
彼女は何もいわず。
私の背中に手を回した。



「好きです、
ユリ、おまえを、」



失いたくない、
その言葉は吐きだす前に飲み込んだ。

「ごめんね、
アポロ。
私は、貴方を置いていっちゃうんだね、
貴方に会わなければこんな辛い事にはならなかったけど、貴方との今までの日々が愛しい。
今まで、貴方がいたから、私は幸せだった。
大好き、アポロ、
大好きだよぉ……っ!!」


彼女は泣きながら言った。
強く、弱音なんか決して吐く事がなかった彼女が泣いたところを見たのは初めてだった。


「ユリ、
愛して、いますっ…
大好きです、」


貴方以外ならなにを失ったっていい。
ロケット団でも、
サカキ様でも、。

それなのに、どうして、ユリなんだ。


「アポロっ、アポロ…
ごめんねっ、ごめ、」


「どうして、お前が謝るのですか……!!」


強く強く、
抱き締めた。
彼女も強く
抱き締めた。

こんなにも、彼女の鼓動が愛しい。

体温が、髪が、瞳が、声が、涙が、全て愛しいのに、

お前を失いたくないのに、


ユリに口付ける。
永遠の愛を誓おう。
死が2人を分かつまでなんて短い愛じゃなく、死んだって愛してる。


永久の愛を。


「ユリ、いつまでもお前を愛していますよ、永久に、」



(そうじゃないと2人とも崩れてしまう)


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