裏腹




「別れる、
 それじゃね。」


勝手にランスの自室に入り、いすに腰掛けていた
彼にそれだけ告げて、部屋を出ようとした。
出ようとしたところで、彼にうでをつかまれた。


「触らないでっ!!」


ばっと、腕を振り払った。
ランスは私の態度にびっくりした顔を浮かべている。
振り払われた腕を見た後、
私の顔を見ていった。


「どうしたんですか、急に。
 別れるなんて、」
「あんたが嫌いよ、
 それだけ、」
「嫌い、またおかしなことを」


何、この態度。
彼の余裕そうな落ち着いている態度に
余計にいらついた。


「おかしい、?
 まさか、冗談だとおもってるの?」
「いいえ、
 でも、わかれるつもりなど
 本当はないんでしょう、?」


自意識過剰。
ナルシスト。
何が、冷酷男よ、
心が嫌な感情に支配されていく。
ぐるぐるぐるぐる、渦巻いている。


「ランス、
 私ね、今、辞団届けアポロ様に出したのよ。 
 もう、ロケット団員じゃないの。
 いまから、でていくのよ。」
「は、」
「だから、別れるの。」
「い、何をいって、」


ランスがあせったようなかおをした。
いい気味よ、
今まで私がどれだけ貴方に嫌われたくなくて
どれだけ貴方を手放したくなくて
我慢してきたか。


「それじゃあ、ね。」
「くっ、ユリ!!別れたくない、お願いしますから、」
「もう、おそいんだよ
 ランス。わたしが貴方を求めていたとき
 貴方はいとも簡単にわたしが救いを求めた手を
 はらいのけたか。
 わたしが貴方と一緒にいるからって理由で
 いじめられて、殴られていたとき、
 貴方はほうっておいた。
 いつも、そう。
 都合のいいときだけ、わたしをもとめないで。」



パタンと静かにランスの部屋の扉とじて
わたしは出て行った。
それから荷物をまとめて、アジトを出たとき、
ついに、心を支えていた、糸が切れた、


「ふっ、くぅ……」


アジトのドアがわたしの涙で濡れた。




(ほんとは貴方とまだ付き合っていたかった。)
(けれど、もう、貴方に縛られるのも
 貴方を縛るのも)
(駄目だと、わかったから)

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