私の馬鹿


「反省してます、
 ごめんね、アポロ、…」


生徒会室の中央にせいざして、ちらりと上をみて
アポロの表情を確認するは、ユリ。
ため息をつきながら足を交差させて、
手を組んで、壁いもたれかかってたっているのはアポロ。
ぶっすー、そんな言葉が似合う表情をうかべ、
ユリの隣で正座しているのはアポロだった。



(つみなんて、あるけどないっ!)





散々、ランスさんと私と教室で騒いでから、
アポロの手に引かれるまま、この生徒会室に来た。
「先生、この二人には
 私から言い聞かせておきます。」
と、アポロはクラスに絶対零度の微笑みをのこして。
この学校の権力構成は
アポロ>ほかの生徒会のかたがた>先生>一般生徒、である。
そしてアポロは、今
微笑みさえなく、呆れた顔で私たちを見下ろしている。


「アポロ、
 ごめんね、?つい、…」


私は、手を顔の前で合わせ、
アポロに謝罪の言葉をおくる。
ランスは、小さく舌打ちをし、
「すみませんでした、」といった。
やはり、ランスさんであれど、アポロには逆らえないのである。


「うぅ、足が痛い、
 あし崩していい、アポロ、…、?」


「どうぞ、」


私はアポロの許しを得て、
足を崩す。
ああ、いたかったぁ、などかってに口から言葉が漏れてしまった。


「ユリ、本当に反省しているのですか?」

「してる、してるよ!
 クラスのみんなにも迷惑かけちゃったし、
 アポロにももちろん、迷惑かけて、」

「そうです、か。
 ランス、おまえは?」

「してますよ、
 こんな低脳な人と騒いでしまって
 自分でも、後悔しています。」

「てっ、低脳!?」

「本当のことでしょう?」

「違う、!私はっ、」


そういったところで気づいてしまった。
アポロの冷たい視線に、
うっと、言葉に詰まってしまった。
幼馴染だから、この視線は何度も受けてきた。
けれど、なれはしない。
私が悪いってわかってるから、反論もできない。


「ランス、
 罰として、生徒会、ここ一ヶ月の書類整理を
 お願いしますね、。」

「、任せてください、。」


よこやりにランスさんの表情をうかがえば
納得いかない、いかにもそんな顔。
そんな私の視線にきづいたのか、
ランスさんは私を見てつぶやいた。

「貴方のせいですよ、」

「う、ごめんなさい。」

こればかりは、私のせいなのかもしれない。
私が寝坊して、髪を結わいてこなかったから。
彼の仕事を増やしてしまったのだ。


「ユリ、
 あなたはどうしましょうか、」

「アポロ、
 停学、とか退学とか、
 トイレ掃除とかは、嫌だ、なぁ」

「ふむ、
 そうですか、」


あごに手を当て考え込むアポロが
いつも以上に、怖い。
生徒会長ってだけで、こんなにも
立場に差があるものなのかなぁ、。
あー、私も生徒会長になればよかったっ!


「そうですねぇ、
 じゃあ、一週間、生徒会の雑用で手を打ちますよ、」

「へ、?」

「放課後、生徒会室に来てください、」

「えっ、まってよ!
 私、放課後はちょっとバイトが、
 生活にもかかわる、し、」

「、そうでしたね、
 でも平気です、ユリが働いてるところは私の
 財閥の会社ですから、私から言っておきますし、
 その分の給料も出すようにいっておきましょう。」

「アポロの、ところの
 会社だったの、!?」



はい、と笑った、アポロに
本当に身分の差を感じてしまった。
アポロは、社長の息子なのだ。
いわゆるお坊ちゃん。



「う、承知しました。」


私は軽くうなずいた。



(今思えばこれが始まりだったのかもしれない)




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