生徒会長な幼馴染。


(こんな学校)
(転校してしまいたかったの。)



R学園、
それは、初等部、から中等部、高等部とある
由緒正しい、大きな学園だった。
朝のチャイムとともに
教室に駆け込むのは、高等部2年T組のユリだった。
がらがらがらっと勢いよく教師のドアを開けて、
元気よく彼女は笑っていた。


「せんせーい、出席とっちゃった?」
「いま、アポロさんまで出席を取ったところですよ。」
「よかった、私、出席番号遅くってー、!」

そうユリはいいながら、自分の席についた。
クラスは、ユリと先生のやり取りに笑っている。
アポロは、ふぅとため息をついていた。
アポロはユリの隣の席である。
「おはよう、!
 生徒会長さん!」
と、ユリは笑いかけた。

「生徒会長の前で堂々と遅刻しないでくださいませんか、」
「えへへ、ごめんねー」

かばんから教科書を取り出し、とんとんと机でそろえて
机にしまいこむ。
さて、アポロとこの彼女は普通に会話しているが、
アポロと会話できるものは少なかった。
頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群、そして生徒会長。
このアポロはまさに完璧だった。
ファンクラブもできていて、その会員は200人をこえるだとか。
みんな、恐れ多くて声をかけられないのだ。
ユリは幼馴染なので特別、そんな感情を抱いていないようだが。


「、まったく、おまえは
 もうすこししっかりできないのですか、」
「うーん、がんばってるんだけどねぇ、」


嘘だろう、本当にがんばっているんだか
アポロは心でそうおもったが、口には出さなかった。
こんな彼女だが、
彼女の周りにはいつも人が集まってくるし、
信頼されているのだ。
彼女には惹かれる何かがあるのだろう。


出席を取っている最中、
ばんっと、大きな音を立ててドアが開いた。
クラス全員がドアの方向に顔を向ける。
あれは、


「ランス、どうしたんですか、?」


アポロは最初に声をかけた。
というより、ランスに声をかけられるのは
アポロぐらいしかいなかった。
しかも今の彼は殺気立っている。


「ユリ、」


つかつかつかと、早足でランスはユリに近づき、
うでをとり、無理やりたちあがらせた。


「わっ、!?」


ぐんっと、体制を変えられてしまったため
おっとと、と足に力を入れるユリの前に
ランスはしゃがみこんで物差しを出し、
ユリの足に当てた。


「スカートが三センチ短い。」


そう一言言ってもう一度立ち上がったかと
思えば、今度はかたにものさしを当てて一言。


「頭髪がかたにつくばわい
 切るか、結わくのが、R学園のきそくでしょう?」


ギラリと眼を光らせ、
ランスににらみつけられたユリはすこしたじろいだ。
このランスという男、
副生徒会長、兼、風紀委員長だった。
アポロと学園の人気を二分する男でもある。


「だ、でも、
 スカートは背が伸びたら自然と短くなっちゃって、…
 今日は起きたのが遅かったから
 結ぶ暇がなくて、ごめんなさい!」

「早くおきれば済む話でしょう、?
 背が高くなったのなら、スカートは
 かいなおしなさい!この学園に通ってるなら
 買えるでしょう!?」

「でも、私低血圧で、
 お金もない、し、…」


ユリの言い訳に、ランスは青筋を顔に浮かべたように見えた。
その様子にユリはひっ、と小さく声を漏らした。
おとなしくみていたアポロがすっと立ち上がり
ランスとユリの間に入った。
ランスは「なんですか、」と低く言う。



「ユリはバイト三昧ですし、
 勘弁してやってください。
 遅刻は直させますから、」

「、そういえばこの女
 アポロの幼馴染でしたねぇ…
 これだから、女は男に守られてばかりで、」


ため息混じりに言うランスに
ユリはアポロを退けてくってかかった。


「今の言葉、聞き捨てならない!」




いきなりにらみつけられたランスは
不機嫌極まりない表情を浮かべた。
ふっ、と笑って「なんなんですか、急に、」
と冷たくいった。



「男尊女卑なんて考えは、よしなさい!
 いまは、両性平等よっ!」



腕を組みながら、勢いよく言う彼女。
それを、冷たく聞いているランス。
この二人の腕をアポロががつかみ歩き出した。


「なに、するの!?
 アポロ、?」

「何するんですか、アポロ、」



二人はアポロをみた。
そこには絶対零度の微笑み。
ビクッと自然に体がおびついた。


「おまえたち、
 今、このクラスはHR中です。
 ふたりでぎゃあぎゃあさわいで
 迷惑じゃないとでも?」


するどい、まなざし。
これが完璧と呼ばれた男の貫禄か。
ふたりはぐっと、ことばにつまった。


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