真昼の熱帯夜
 






「霊気が使えないってどういうことだ?!」


幻海の言葉に驚き幽助が問う。



「今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ。
言葉のまんまさ。戦いに集中しな。」

幻海は敵から目をそらすことなく、幽助をそう諭す。



すると突然闘技場の上から相手チームの選手が落ちてき、勢いのままフェンスに激突していく。



その後、大きな機械とともに蔵馬と飛影が降りてくる。


「今投げたゴミから話しは全て聞いた。」

4人が恩師の病を治してもらうことを条件に実験に身を任せたこと。

その恩師の病はイチガキが仕組んだ罠であったこと。




蔵馬の言葉に幽助たちは真実を知る。



「だったらどうだというのかね。
所詮そいつらはワシの理想の一歩。捨て石に過ぎんデータの端切れじゃ!」


イチガキの発言に怒りが沸いた幽助と桑原は、イチガキに向かって突っ込んでいく。



しかし、そんな2人を4人が阻む。



この4人をイチガキの洗脳から解放するには、背中にある装置を取るしかないが、それは4人の死を意味する。



(幽助と桑原にそんな真似は出来ないな...。)

ガチャリ、となまえは刀の柄に手を添える。



すると、右腕を幻海に握られ制される。





「はやるな、まだ方法はある。あとは任せろと言ったろう。」


幻海の言葉になまえは柄から手を離す。



向かってくる4人に対し、桑原は目を覚ませと訴えるが、その訴えも虚しくもろに4人の攻撃を受けてしまう。



「桑原ァーーーーー!!!てめぇら...!!」



幽助が4人を見ると血の涙を流していた。




なまえが桑原の様子を診る。


「大丈夫。急所は外しているみたいだ。」


「恐らく奴らが外してくれたんだろう。
戦っているんだ。精神のギリギリの崖っぷちでな...惨いな。」




そんな様子を見て、イチガキはおかしそうに笑い

人間の精神はゴキブリ並みにしぶとく悪あがきをする。と嘲笑う。



その言葉に幽助の怒りは頂点に達し、その怒りで霊力のレベルが上がる。




幽助の霊力が上がり、4人の霊気が見えるようになったことで戦況は形勢逆転する。



その状況にイチガキは測定器を使い、勝率を弾きだす。



52.725%


その数字にイチガキの顔から余裕がなくなる。



「頭では整理しきれなくなったか?」

マニュアル通りの心理作戦も結構だが、何がきっかけで人間強くなるかわからないぞ―――


蔵馬の言葉にイチガキは言葉に詰まる。




「先にいって待っててくれや!ワビは地獄できっちり入れるぜ!!」


そう言い幽助は霊丸の構えをとるが、再び覆面を結んだ幻海によって制される。



「冥陰滅呪烈済済...」

幻海は呪文を唱えながら、右手に霊気を集中させる。




「あれは...そうか、その手があったのか。」

(霊光波動拳の5大拳のひとつ、修の拳の奥義!
しかし、あれはかなりのリスクのある技だ...)




幻海の右手に密度の高い霊気が集まり、一瞬のうちに幻海の右手が4人の胸を突く。



「浄 裁...!」



4人は抵抗する間もなく、地に伏せる。




「ダウンです!4人同時とみなしカウントを統一します!!」


司会のカウントは進み、勝者は浦飯チームとなった。



しかしこんな形の勝利に納得のいかない幽助。

次の矛先はイチガキへと向き、イチガキは蔵馬・飛影・幽助に囲まれる。



「い、いいのか?!ワシを殺せば奴らの師匠も死ぬぞ!
居場所も病気の解毒剤の作り方もワシしか知らんのだぞ!!」


と、イチガキは最後の悪あがきにでる。



「そうかな?」

蔵馬は腕組をしている指が指す方向を見ると、そこには4人が身を投げてでも助けたいと思っていた師がいた。



「貴様の助手が全て教えてくれた、幽閉場所もな。
解毒剤は蔵馬が簡単に作ったぞ、症状を見ただけでな。」


もっと強力な毒草の育て方を教えてやろうか?


飛影と蔵馬の言葉にイチガキはなす術がなくなる。



「覚悟はいいか?カス野郎。」

幽助の言葉にイチガキは自ら姿を変える。



「どぉだァ!戦闘妖液の威力を見せてやるわ!!

死ねェーーーーーー!!!」








ドゴ!!!







「コナゴナになって反省しろアホンダラ。」


イチガキの変化も虚しく、幽助の拳一発で場外へ吹き飛び、その体は粉砕された。






これですべてが終ったようだったが、愛弟子に先立たれてしまったことに師は悔いる。



そんな師に、幻海は悲しむことはないと言う。



すると先ほど幻海に殺されたと思われていた愛弟子4人は全員生きていた。

4人の心が澄んでいたおかげで、イチガキの取り付けた操血榴を取り除くことが出来た。


師と愛弟子はお互いに生きていた喜びを分かち合う。




なまえは桑原の応急処置をしながらその様子に安堵する。



「良かったんですか?イチガキに聞かなくて...。」

蔵馬がなまえに薬草を渡しながらそう問う。



「いいさ。あの程度の科学者じゃ何も知らないはず。
それに、前にも言っただろう。もう、いいんだ。」



あらかたの治療が終わり、桑原のことは幽助に託すことにした。



「なまえ、まさか霊気が...」


「皆さんお静かに願います!では、これより2回戦を行います!!」



蔵馬の言葉を遮り、司会の言葉が会場に響く。




「!?」

「なに...!」



浦飯チームVS魔性使いチーム



幽助たちの驚きを余所に、電光掲示板にはそう表示される。



「連戦...!」

(まずい...俺は今霊気が使えない上に、桑原は重傷、師範も霊力をかなり消耗している...。
それに、飛影も右腕を黒龍に食われていて戦える状況じゃない!)



なまえの焦りを余所に、魔性使いはリング前へと現れる。




ローブに全身を覆い隠して...







真昼の熱帯夜 fin.2013.8.11



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