近づく時
 






ゴッ!!!



バトルマニア同士の血潮沸く熱き戦いは頭突きで勝負がついた。




勝者は幽助――――










初戦は浦飯チームが勝利を収めた。


大会2日目は自由行動となり、各々次の戦いに向けてそなえていた。









なまえは海岸の岩場に座り、座禅を組む。

武術会までの2ヶ月、幻海の元を離れ、呪術師の元で修行を積んでいた。


これは幻海の勧めでもあった。



(そろそろ、他のチームの初戦が始まるか...。)


なまえは海岸を後にし、闘技場へと歩を進める。





闘技場へ行くと、丁度選手が入場するところだった。


ふと闘技場の屋根を見やると蔵馬の姿があった。

目が合いちょいちょい、と手招きされる。



蔵馬の傍に行くと、丁度試合開始の合図がなされた。



試合は一方的なものでDr.イチガキチームが勝利を収める。



それに納得がいかない相手チームの一つ目牛が襲いかかるが、Dr.イチガキチームの一人の男の見えない"なにか"で頭から潰される。







「驚いたな...あの3人が操ったのはまさしく霊気。」


「しかも相当の手だれだ。霊気を相手に見えないようにしている。」

もしあそこのチームと当たれば...幽助と桑原は本来の力を出せそうもないな。


なまえはため息をこぼす。





「...恐らく本人の意思で戦っているのではないだろう。
厄介だな...。」

そう言い蔵馬は眉をひそめる。




しばらく待っていると、戸愚呂チームの初戦が始まった。


しかし相手6人に対し出てきたのは戸愚呂・弟一人のみ。



絶対的に不利な状況において、戸愚呂はできるだけ一人で戦いたいと述べる。


そんな状況に司会も戸惑うが、戸愚呂に後押しされ試合が開始される。




そして戦いはすぐに終了し、残ったのは相手チームの残骸だけだった。







「...良く生きていられたね。」


「軽くあしらわれたよ。お情けで生かされたようなもんだ。

"ちゃんとまともに飯食えるようになったら、本気で戦ってやる"とな。」


できれば戦いたくないけど...となまえがこぼす。




ここにいてももう何も収穫がないので、2人はホテルに戻ることにした。











ホテルに戻ると幽助たちにばったり出会う。


話によると、2回戦以降の組み合わせが発表され、抽選と言いながらも

明らかに戸愚呂チームと自分たちの位置は決まっていたかのような組み合わせになっているらしい。





「まぁ、その方が俺たちにとっても都合がいいさ。戸愚呂たちと戦う前に、鍛えられるからな。」

今のままじゃ確実に戸愚呂たちには勝てない。



幽助からもらった対戦表を見ながらなまえは言う。





「なまえでも勝てないのか?」


「...無理だろうな。俺の霊気は戸愚呂を封じることはできても、倒すほどの力...破壊力がない。」


と、幽助の問いになまえは冷静に答え、幽助を見据える。




「最後はお前にかかっているんだぞ幽助。」




そう言いある部屋の前で歩を止め、ドアを開けて部屋に入って行った。



それに続き蔵馬も入ろうとする。







「「え...。」」


幽助と桑原の声が見事に重なる。




「蔵馬だけ部屋別だとは思ってたけど...え?相部屋?」



「そうだよ。ホテル側の手違いみたいだけどね。」

と、蔵馬はなんともないように答える。






「ちょっとちょっとオニーサン!」

そう言いながら幽助と桑原は蔵馬の肩に腕をまわし、壁際に向かってコソコソと話す。





「なになに?夜はベッドで2回戦ですか?!」

「っか〜ぁ若いねぇ。」

とにやにやしながら2人は蔵馬に絡む。





そんな2人を見やり、やれやれ。とため息をこぼす。





「そんなに興味があります?」


蔵馬の問いに再び幽助と桑原の声が重なる。





「そんなに興味があるなら、今日の夜部屋にくればいいよ。」

もちろんこっそりね。



幽助と桑原の間をするりと抜けて、艶のある笑みを浮かべながら蔵馬は言う。



そして固まっている2人にお構いなしに部屋に入って行った。



















「...どうするよ。」


「...行くしかねーだろ。」









その夜、幽助と桑原が部屋をのぞきに行き

寝起きのなまえに殺されかけたことは言うまでもない。









(無防備な君を試したかった。
なんていうのは自分だけの秘密。)







近づく時 fin.2013.8.8



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