血染めの花
 





試合が進むにつれて鈴駒の本領が発揮されていく。

ついに桑原の体をヨーヨーが捉え、まるで人形を振り回すかのように自在に桑原を地面に叩きつける。




「蔵馬、お前の特訓も無駄だったな。2本の剣もあのヨーヨーを防ぎきれん。」


「いや...まだ特訓の全てを出したわけじゃない。」



しかし、桑原の体は何度も地面に叩きつけられかなり損傷している。


あのヨーヨーに捉えられたままで反撃のチャンスがあるとは思えない。




すると桑原の体が宙に浮き、空高くあげられる。




「これは...さすがの桑原も...。」

落とされれば確実に死ぬ。




なまえがそんなことを考えていると、幽助の名を呼ぶ女の子の声が聞こえた。


「コラ――――!!幽助!!友達が危ないって時に!!何呑気に寝てんのよ薄情者!!」


「桑原君根性よ!!根性で羽ばたきなさい!!」




「...。」

後ろを振り返ると、女性3人にぼたんとコエンマが観客席にいた。


すると蔵馬がそれぞれ女性の名前と幽助たちとの関係を教えてくれた。





「カエルみたいにへたばって死になァ!!」


桑原を支えていたヨーヨーが体を離れ、重力に従い勢いよく空から落下する。




万事休す、そう思われたが桑原が霊剣を使い地面との直撃を免れる。



が、桑原の顔面目がけてヨーヨーが飛んでくる。

それに構わず桑原は霊剣をもう一本繰り出し、ヨーヨーの間を縫うようにして剣を鈴駒目がけて走らせる。




武器が互いにクリーンヒットし、両者は場外へ吹き飛ぶ。


鈴駒が先にリングへ戻り、剣で貫かれた箇所に妖気を当て治療をはかる。


そこへ桑原もリングへと復活する。




しかし、鈴駒はもう勘弁というように桑原に巻きついていたヨーヨーを操作し、桑原を地面にダウンさせる。


カウントは進み、初戦は六遊怪の勝利となった。




「てめぇコラぁ!!大会終わったら便所で待ってろ!!」


「あれだけ元気なら治療はいらないか...。」




次鋒前へ!!


司会の言葉に蔵馬がリングへと上がる。




「蔵馬。ちょっとイタイ目にあわせてやるなんて考えるなよ。

二度と刃向かう気にならんようにしてやれ。」


と飛影が蔵馬に注文する。


それに対し、わかっている。と蔵馬は返す。




「あ...特訓してて不思議に思ってたけどよ。
蔵馬の薔薇の鞭って一体どこに隠してんだ?」


その桑原の問いに対し、飛影が答える。



四聖獣戦でも後ろ髪から薔薇を取り出していた気がする...。

薔薇を髪の中に隠しているということか...?



いくら考えても答えに行きつきそうにないので、
なまえは考えることをやめ、試合に集中することにした。





相手は腕を鎌に武器化し、蔵馬に向けて振うが全て蔵馬は見切っており軽やかに避ける。




(なまえが相手にした鎌鼬の方がよほど手ごたえがあったな。)

そんなことを考え、蔵馬は呂屠の背後に回り込む。


「たいした使い手でもなさそうだ。今楽にしてやるよ。」











「あんたの母親の命は預かってるぜ。南野秀一くん。」




その声とともに蔵馬の動きが鈍り、鎌が頬を掠める。




「くくく、見えるか?このスイッチを押せば俺の使い魔が

あんたの母親を食い殺すよう尾行している。」


この意味がわかるね、優しい優しい秀一君...



そう言い呂屠はくくく...と厭らしく笑う。





その言葉に蔵馬は戦闘態勢を解く。


呂屠はそんな蔵馬に満足し、鎌を仕舞い素手で蔵馬を殴りつける。


その中で、蔵馬は呂屠の顔に向かって小石を弾き命中させる。




(もうひとつ何か胸のあたりに当てた...。)

目を凝らして見てみると、呂屠の胸のあたりが僅かに鬱血している。




呂屠は蔵馬が全く怖気づかないことに気分を損ね、蔵馬が無抵抗なのを良いことに殴りまくり

再び鎌で蔵馬の頬に傷をつける。




それでも変わらない態度の蔵馬に逆上し、自らの足を持ち上げ蔵馬に土下座して舐めろと命令する。



「馬鹿め...。」

そんな呂屠の姿を見て飛影はこぼす。





「断る。」

蔵馬の言葉に呂屠が動揺する。



「もういい。押せよ。」

そう言いながら蔵馬は服についた汚れをぽんぽんとはたく。



そんな蔵馬の態度に動揺を隠しきれず、呂屠は蔵馬を罵倒し始める。






「押せ。」




「ケケケケ―――――押してやらぁぁああ!!てめェもやはり妖怪だァ!!カッコつけてんじゃねーぜ!!!」


そう言い呂屠はボタンを押そうとするが、体がいうことを聞かずに固まる。



蔵馬は体の固まった呂屠からボタンを奪う。



「うんざりだが...今まで飽きるほど言ったセリフを繰り返そう。

最も危険な掛けなんだよ...君が一番楽で手っ取り早いと思っている手段は。」


さっきお前の体にシマネキ草を植えこんだ。



その言葉に呂屠はやっと自分の体の自由を奪っているものの正体を知る。



そしてシマネキ草は蔵馬がある言葉を発すれば爆発的に成長する。


それを知り、呂屠は先ほどと打って変わって命乞いをしだす。









「死ね。」



蔵馬の言葉とともに、シマネキ草は呂屠の体を突き破り、断末魔とともに綺麗な花を咲かせた。




「皮肉だね。
悪党の血の方が綺麗な花が咲く...。」




2戦目は蔵馬が勝利を収めた。








血染めの花 fin.2013.8.4



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