暗黒の幕開け
 






「皆さま、大変長らくお待たせいたしました!!

只今より1回戦 第1試合の選手入場です!!」




――――暗黒武術会 開会いたします!!!






司会の開会宣言に闘技場は熱気に包まれる。





「おお――――!!待ってたぜ六遊怪!!スラムの期待の星!!」



「おお?!出やがったぞ!!こらァウラメシくたばれァ!!

裏切り者の飛影と蔵馬、てめーらは肉切れをクソにしてくれるぜ!!」



観客の怒号と殺気がすべて幽助たちに向けられる。


「仲間意識のないやつらに裏切り者扱いされるのは心外だなぁ。」



そして両チームがリング中央へとあがる。



「くたばれ人間どもぉ!!八つ裂きにされて死ねーぇ!!」



「おい、あの赤髪のチビは"血の瞳"じゃねぇか?!」

その声に会場の一部がどよめく。



「てめぇこそ真の裏切り者だぁ!!!てめぇの死体から全部血を抜き取って干からびさせてやらぁ!!!」


あんときの金返せ――――!!






そんな怒声になまえは一つため息をこぼす。


怒声と殺気が飛び交う中、幽助は桑原の肩を借りて未だ眠っている。




「戦い方と勝敗は両チームの大将同士の話し合いによって決めていただきますが

折り合いがつかない場合はそれぞれ6名が1対1で戦い、勝った人数の多いチームの勝ちといたします。」



「大将っつったって...浦飯は寝てるぞ。」




なら代わりは桑原君しかいないね



蔵馬の言葉にあからさまに顔がにやける桑原。


対戦方法は1対1のタイマンなった。




ゴォッ


是流が妖気を放出し、幽助を挑発する。



しかし一向に幽助は起きる気配がない。




なまえはちらりと覆面の人物、もとい玄海を見る。



(この2ヶ月間、相当鍛えたんだな師範...。)

奥義の継承はまだみたいだが...





「では、先鋒前へ!!」



桑原と鈴駒の初戦が始まった。




「1対1で戦うこと以外ルールなし!!道具可!

場外とダウンはカウントをとり10カウントでKO負けです。」


では始め!!


司会の声とともに試合開始のゴングが鳴り響く。




「今回は良いルールだな。」


なまえの言葉に蔵馬と飛影が視線を移す。



「大会の経営者陣によってルールは変わる。

どちらかが死ぬまで勝敗が決まらないといったルールも過去にあった。」


「フン。ルールなんて建前だろ。
大会が進めばどちらかが果てるまで試合は続行されるさ。」


俺はそっちの方が都合がいいがな。

と飛影が不敵に笑う。



「そうだな...。」

戦っている当事者がルールとなることは少なくない。



試合は桑原のペースで進む。

そのことに会場からは弱い奴はひっこめと鈴駒に向けて野次が飛ぶ。



「いや...桑原君が強くなっているんだ。
特訓に付き合わされてわかったが、彼は実戦ではじめて本気が出せるタイプ。」


「...馬鹿が。武士道でも気取るつもりか。
今のうちに霊剣で突き殺せばいいものを。」




飛影の言うとおり、確かにあの鈴駒という少年は本気を出していないように見える。

恐らく今が致命傷を与える絶好のチャンス。









ボキッ!!!!





そんな音がリング場に響く。

鈴駒が桑原の頭に蹴りを入れ、首の骨が鳴った。


ドサリ、と桑原が地面に倒れ、カウントがとられる。



やはり先程まで桑原に殴られていたのも演出だったらしい。



「だれの...首を折ったって?」

「なんと桑原選手立ち上がりました!試合続行です!!」



すると鈴駒は複数の小ぶりのヨーヨーを手にする。


それに負けじと桑原も霊剣を繰り出す。





戦いは始まったばかり。







暗黒の幕開け fin.2013.8.4



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