首縊島
 







――――それから2ヶ月後―――




暗黒武術会の開催舞台、孤島・首縊島への船が出航するのを桑原・蔵馬・飛影は雑木林の中で待つ。




「浦飯のヤローおせーな、何してやがるんだ。
最後のひとりのメンバーも決まってねーし。」


「人の心配よりお前はどうなんだ?」

少しはマシになったのか。



とあまり期待はしていない、というように飛影は桑原に問う。




「へっ、見てのお楽しみってやつよ!!
蔵馬との秘密特訓見せてやりたかったぜ。」



そんな桑原の言葉に蔵馬はただ黙る。





すると船長がそろそろ出航であることを伝えに来る。


それに対し、桑原はまだ来ていない仲間がいることを伝える。






そんなやりとりをしていると、幽助と小さな覆面の人物が現れた。



おせーぞ!と桑原が幽助に向けて声を張る。

しかし幽助は修行の疲れでフラフラとしている。





すると飛影があいさつ代わりと言わんばかりに、幽助に向かって流れる手さばきで刀を振う。



その刀を避けながら、幽助はパシリと手で受け止める。





その様子を見てその場の全員が、幽助が数段強くなったことを感じる。







「...そーいえば、なまえは?」

てっきりもう来てると思ってたぜ、という幽助の言葉に桑原と蔵馬がえ?と返す。



「幻海師範のところでおめぇと修行してたんじゃないのか?」



「いや...途中からいなくなった...。」



と、幽助も予想外の展開に困惑したように言葉を発する。




全員が蔵馬に視線を移す。



「俺もてっきり幽助と一緒に修行していると思ってたんだけど...。
なんせこの2ヶ月間会ってないからね。」





蔵馬の言葉に幽助と桑原は最悪の事態を思い浮かべ、黙り込む。

飛影はどうでもいいといった風に、沈黙を守る。

覆面の人物は終始黙したまま、その場にたたずんでいる。





「おい、まさか戸愚呂に...。」

やられたんじゃないか、そう桑原が口に出そうとしたと同時に、ガサリと背後で音がする。



その音に桑原はビクリと肩を震わす。








「おいおい、主役の俺より遅れてくるとはいい度胸してんじゃねーか。」



にやりと笑いながら幽助は木々の間から現れる影に言葉を投げる。




「すまない。寝坊した。」


そう言いなまえは暗がりから現れる。




「寝坊っておい...。」

緊張感ねーな、という幽助の言葉に
おめーが言うな、と桑原がすかさず突っ込む。





それでは出発する、という船長の声に一同は船に乗り込む。






「おい貴様...この2ヶ月間なにしていたんだ。」

貴様の霊気になんの変わりがない。むしろ薄まっている。


と飛影はなまえをギロリと睨む。



「ちゃんと修行はしていたさ。あんなところで死にたくはないからな。」


なまえの言葉に飛影はフンと鼻で笑い

楽しみにしている、と衣を翻す。





(飛影の目から何も変わっていないように映っているなら、この2ヶ月間無駄ではなかったな。)

なまえは一人静かに安堵する。






ほどなくして、船に闘技場が現れ予選会が行われた。


代表選手だけでの闘いのはずが、覆面選手が圧勝したのち、船上はルールも無視した無法地帯と化した。



しかし6人にとっては準備運動にも足らず、乱闘はほどなくして鎮静化する。





首縊島は目前に迫っていた。








首縊島 fin.2013.8.2



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