裏切りの門
一行が進んでいると、骸骨の形をした入口らしきものが現れた。
迷いなく入っていくと
「ようこそ迷宮城へ。この城に入らんとする者達は裏切りの門の審判を受けなければなりません。」
と蝙蝠のような一つ目の妖怪が現れ、そう言うやいなやレバーを下げた。
すると、ゴゴゴゴという地響きとともに上から天井が降りてくる。
「くっ!」
「その門は大変敏感で頭がいいのです。
支えている者の力を読み取りギリギリで耐えうる重さで重圧をかけます。」
ひとりでも力を抜けばぺしゃんといきますよぺしゃんとね...
門番の言うとおり、全力で支えてもビクともせずどんどん重圧が大きくなる。
「ひとりが裏切って逃げようとすれば残りの者は全て潰されますし、
お互いを信頼し合いながら力尽きて全員潰れて死ぬのもいいでしょう...。」
ホホホホホ、と妖怪は不気味に笑う。
(全員が生きて通るには、方法はあのレバーを戻すしかないか...。)
そんなことを考えていると、幽助も同じことを考えていたらしい。
この中で一番素早い飛影にそれを託す。
「バカヤロ浦飯!どーも俺はそいつはいけ好かん!!」
「そこの潰れた顔の言うとおりだぞ。俺なんかを信用していいのか?」
つぶ...だれがだコラァ!!
と、またお約束の展開になる。
「言い争っている時間はない。
幽助が全霊気を放出すれば、ひとり分は支えられる。」
「そうだ飛影!任せたぞ!!
...ってお前は何もしないのかよ!?」
「これも修行のうちだ。」
そんなことを言っている間に、飛影はレバーの元へとたどり着いていた。
だが、迷っているのかレバーに手をかけたまま動きが止まる。
「なにも迷う必要はありませんよ、飛影殿。
彼らを置いて朱雀様に会われればよいのです。」
そして門番は再び不気味な笑い声をあげる。
「くっくくく、ほとほと甘い奴らだぜ...
俺をなめるな!!!」
その言葉とともに門番は一文字に斬られ
天井の動きもピタリと止まる。
「奴らに言っておけ!命乞いをするなら今のうちだとな!!」
飛影の言葉に門番はよろよろとしながら退散していった。
「大丈夫か浦飯。」
「血管がぶっちぎれるかと思ったぜ...
助かったぜ飛影!!サンキュー!」
ヒヤヒヤさせやがって、役者だなオイ?
と、幽助は飛影の肩にポンっと手をのせる。
浦飯幽助...不思議な男だ。
いとも簡単に人の心を変えてしまうのだから...
幽助なら、ちゃんと正しく霊光波動拳を継承してくれる。
そんなことを考えていると、ビシッと飛影に指を指される。
「それに、本気で手合わせするまで、貴様にこんなところでくたばってもらっては困るからな。」
そう言い、飛影はスタスタと先へと進んでいく。
「どうやら君は人気者のようですね。」
「けっ、恨みを買いあさってるだけだろ。」
その後、幽助が再び地面にひれ伏したのは言うまでもない。
裏切りの門 fin. 2013.7.19
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