一緒の布団で甘い時間を過ごす
 


深夜
暁の数あるアジトの一つ


いつもは尾獣狩りやら秘術探しやらで野宿や町の旅館に泊まっているから、こうして暁の本拠地に泊まることは稀だった。

暁の本拠地であれば、個人個人に部屋を割り当てられている。
メンバーではない私にも、部屋は割り当てられていた。


「…。」


だから、うん。
それはイタチさんもそうで、今は部屋で一人で休んでるはずだ。

目の前にある扉。
夜中だから…まぁ忍である私達にそんな一般人の感覚はなきに等しいが、大きな音を出すべきじゃないだろう。

ノックはせずに、ほんの少しだけ立て付けの音をさせて中に入る。

部屋の中、ベッドに見える膨らみ。
たぶん、今の音でイタチさんなら起きたに違いない。


「イタチさーん。起きてますよねー。」

近づき、そっと声をかける。
だが、静かな呼吸が布団を上下させるだけで何の反応もない。
イタチさんの長い睫毛で瞳は閉じられている。

狸寝入り…?どうして。
にしても、寝顔まで綺麗なのどうにかならないかな。
髪も真っ黒でサラサラで、顔にも傷跡ひとつない。



「…!!!」

僅かな気配に後ろを振り向くも間に合わず、ベッドに背中から倒れた瞬間、ポンと小気味良い音と共に煙が立ち込める。


敵の襲撃ではない、と速やかに判断するも状況に理解が追いつかない。

立ち込めていた煙が晴れれば、目の前にイタチさんの顔があった。


「…どういうこと、ですか。」

「お前が熱心に眺めていたのは、影分身だ。」


でしょうとも。
今の煙はそういうことなのだけど、聞きたいのはそういうことではなく。


「イタチさんは、いつも眠る時影分身をベッドに?」

「いいや、お前の気配が近づいてきたから影分身を置いた。」


え、なんで。
もしや私に襲われる(夜這い的な意味で)と危惧した?
それならば相当ショックなのだけども。


「お前が、何をするのか見たくてな。」

「…もう、色々と心臓に悪いです…。」


はぁ、と緊張を解く。
本当に、イタチさんって極稀に想定外のことをするから、その度に驚かされるのだ。


ひとまず一旦落ち着こう。
そう思い起き上がろうとも、イタチさんは抑えた手を中々解放してくれない。


「あの、イタチさん…?」

「目的は、なんだ。」


あぁ、そうだった。
本当なら静かにイタチさんを起こして、寒いから一緒に寝てください。なんて言い訳をしながら、2人で一緒に過ごそうだなんて計画してたのだけど。

段取りは変わったけど結果は一緒だから、まぁ、


「寒いので、一緒に暖まりたいなぁと…」

「お前は、そんなに寒がりだったか。」


そう言いながら、イタチさんは腕を解放してくれ布団をあけてくれる。

そこに遠慮なく入り込む。
以前ならこんなこと、羞恥心に負けてただろうが今はそんなこと構っていられない。

少しでも近くに居られるなら、それで。


イタチさんを待っていれば、同じように布団に入り込んでこちらに詰めてくる。
そうすれば必然と視界に入るイタチさんの首元と触れるイタチさんの体温。


トクトクと、鼓動が早まり体は温まりはじめる。


真正面にイタチさんの顔があるのは流石に気持ちがもたないから、少し枕から頭をずらし、イタチさんの胸元に額を預ける。

そうすればイタチさんは布団をかけ直し、私はすっぽり頭まで布団に埋まる。


「息苦しくないか。」

「大丈夫です。この方が、暖かいので。」


イタチさんの温もりと香りに包まれたここは、とても幸せで。
たぶん、顔は緩みきっているからこの方が都合がいい。

そうしていれば、イタチさんの腕がもそもそと動き髪を梳くように頭を撫ぜられる。


「大きな猫を飼ってる気分だ。」

「イタチさんの猫ですか。それもよかったかもしれませんね。」


イタチさんの猫。

たぶん、猫であれば沢山構ってもらえるし、イタチさんの気の抜いた顔も見れただろうから。

人より私は猫であった方がよかったかもしれない。


いつのまにか止まったイタチさんの手。
それを不思議に思い上を向けば、布団をあけてイタチさんがこちらを覗いていた。


「さぞかし、美しい猫なのだろうな。」

「どうでしょう。たぶんどこから流れてきたのかもわからない雑種ですよ。」


そう言えば、イタチさんは今度は私の頬を撫ぜる。

…いつもより、よく触れてくれる。
もしや私の心を読んだのだろうか。

それにうつろうつろと微睡んでいると、イタチさんが口を開く。


「あぁ、でも猫なら…」


いつの間にやら私の顎をすくい上げ、それを不思議に思っていれば深くなる影。


唇に押し当てられる感触。

ちゅ、と名残惜しく離れるイタチさんの体温。



「こういうことは、できないからな。
今のままでいい。」


あぁ、あぁ。
どうしてそういうことを。

真っ赤になった私を見納めて、イタチさんは再び布団をかけ直し、私は仄暗い布団の中で熱いくらいに体が火照ってしまっていた。


















あとがき−−−

布団の中でいちゃつくイタチさんと主人公でした。
私じゃこんなステキなシチュエーション思いつかなかったので、リクエストいただき感謝です!!!

そして初っ端、中々布団に入らない2人に焦った作者です(笑)
お題と違うところで危うくいちゃつかせるとこでした。

イタチさんの場合、相手が何してほしいか察するのめっちゃ上手くて、それに応えてあげる…ようは甘やかし上手?長男だし?のイメージで書いてました。

いっつも自分のわがままばっかり聞いてもらって、イタチさんも何してほしいか言ってよ!なこと言っても、たぶんイタチさんはお前が喜んでくれる顔を見れれば満足的なこと言いそうとか、なんか色々妄想させていただきました(笑)

改めて、リクエストいただきありがとうございました(*´ω`*)



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