伊達組
※Twitterお題 リプきたキャラでほのぼの
空に広がる淡い青色にふわりと浮かぶ白い雲。
柔らかな風は、芽吹く草花のにおいを運び、太陽は優しく…
「っあー!!つまんねぇ!!!」
前を歩いていた貞坊が突然叫ぶ。
その声は、妨害するものも何もない一本道に響き渡る。ついでに山もないからやまびこも返ってこない。
「いつまでこんな資材集めしなきゃなんねぇんだ!」
「まぁまぁ貞ちゃん、こうして景色を眺めながら歩くのもいいじゃない。ねぇ加羅ちゃん。」
「…。」
無言の加羅坊からは、否定の意志が滲み出ている。
それを察した光坊は加羅坊に意見を求めるのを諦めた。
「そりゃさぁ、戦の為には軍資は必要だぜ?
でも流石に毎日毎日同じ場所、同じ時代に飛ばされちゃあ見飽きるってもんさ!」
「まぁ、確かに…。」
と、流石の光坊も思うところもあるらしく、丸く収められないようだ。
まぁ、ここ一週間ずーっと同じ場所に同じ面子で遠征に出されてるんだもんな。
それもこれも政府が鍛刀きゃんぺーんとやらを通達したせいだ。
「そういえば、鶴さんはどうなの?」
「そうだ、こんなの鶴さんが一番に飽きそうじゃないか。」
と、二人がこちらを振り返る。
加羅坊もチラリとこちらを見る。
「おいおい、そりゃどういう意味だい?」
「いつも驚きを求めてる鶴さんが、こんな単調なことを黙ってやってるなんて変だよ。」
「…雷でも落ちてくるか。」
「加羅坊まで…酷い言い草だなぁ。」
そんなにいつも、落ち着きのないように見えているのか。と、苦笑を浮かべていれば貞坊が隣に来て、ジッと俺を見上げる。
「なんだなんだ?伊達男にそんなに見つめられちゃあ照れ…」
「鶴さん何か隠してんな。」
確信したその言葉にピクリと顔が引きつる。
そしてそんなやりとりに、光坊と加羅坊の足が止まる。
「え、ちょっと何。何か仕掛けてるの?」
「またくだらない事を…。」
「いやいや、遠征先に来てまで仕込む事は流石に俺も出来ないぜ。」
と言っても、疑いの眼差しは引っ込まない。そんなにこいつらに何かしたっけか。
じーっと三人に見られれば流石に口を開かざるを得ない。
「仕方ないな…付いてきてくれるかい?」
暫く歩き、道を一本逸れれば木々に囲まれた小道に入る。そこを通り抜ければ突然視界が開ける。
一面に広がる緑の絨毯に、模様のようにポツリポツリと黄色が点在する。
「おお!こんな場所があったのか!」
「菜の花畑…かな?鶴さんよくこんな場所知ってたね。」
随分前に遠征で来た際に、同じように飽きて探索した事を話せば、やっぱりあんたが大人しくしてるなんてらしくない。と加羅坊に言われた。
「本当は、満開になってから教えてやろうと思ってたんだがなぁ。」
「いやいや、満開になる頃には俺たちがくさっちまってる。これで明日から暇潰しもできるってもんだ。」
「一面黄色になるまでの変化を観察するのも、おつってもんでしょ?ね、加羅ちゃん。」
光坊が尋ねれば、好きにしろ。とふいっとそっぽを向いてしまった。
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