同棲からはじめませんか
 




仕事も定時で終わり、アフターファイブをお家でごろごろしながら過ごす。


あぁ、なんて幸せ...
ちょっと前なんて生傷絶えなかったのに。
そういえば桑原君は無事高校卒業できるんだろうか。




なんて考えていたら、ガチャリと玄関のドアが開く音がする。

そして、ただいまー。なんてお決まりの声が聞こえてくるから、おかえりー。と律儀に返事してやる。



「...珍しい。早かったね。」

「今日はそんなに忙しくなかったからね。」


と、当たり障りのない会話をし
蔵馬が買ってきたビールに手を付ける。
蔵馬も同じように、プシュリと小気味のいい音を出してビールを開ける。



ビールなんて苦くてまずいだけだと昔は思っていて
大人になれば旨く感じるだなんて嘘だろうと思っていたが、ある日突然旨いと感じだした。
私も年かなぁなんて考えていたら、ふいに横から視線を感じた。



「...なにか?」

「いや...退屈そうだなと思って。」

突拍子のない言葉に頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
が、すぐにハテナは解消された。



「まぁ...ちょっと前は次から次に、いつ誰が死ぬかわからない状況だったからね。
平凡な今の環境は、ちょっと物足りない感はあるけどねー。」

いやぁ、まぁ、何もないことはいいことだけどね。と付け足すと、蔵馬がクスリと笑う。



「俺はもう十分かな...。」

「あら、もう年なんじゃない?」

さっき自分に感じていたことを言葉に出す。



「...かもしれない。
死線は幾度も超えてきたし、欲しいものは全部手に入れてきたし、女ももう十分だし...。」


おい、最後のは絶対余計だろこの野郎。
と言いたかったが、事実なので何も言えない。



「俺もそろそろ落ち着いたかな...。」

「...あんた、その姿でそんなこと言わないでよ。」

仮にもまだ20歳の少年なんだぞ。
今が盛りじゃないか。

そんな言葉も呑み込み、ビールを半分ほど一気に飲む。
あぁ、やっぱ青いラベルが旨いわ。



「ということで結婚しましょう。」

「...えーと、何から突っ込んだらいいかな南野君?」





ということで、ってなんだ。
落ち着いたのくだりか?女も十分のくだりか?



当たり前のようにうちにいるけど蔵馬、会社の近くにマンションあるよね。
てか、私たち正式にお付き合いしてませんよね...?


...と言いたいことは山ほどあるけどとりあえず







同棲からはじめませんか 2014.5.25



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