「…んん?」


パラガスは所用でブロリーの部屋にやってきた。だが、部屋の中からブロリーと「誰か」の気配を感じピタリと足を止める。


「…って、…ない…?」
「…そ……だ…な」


すると、何やらもにょもにょと話す声が聴こえてきた。ブロリーは一体誰と、何の話をしているのだろうか?気になったパラガスはドアに耳をつけ聞き耳を立てる。


「あの、寄り掛かってもいい?」
「…ああ」
「…(この声は名前、か?)」


ブロリーと一緒に居るのは名前か。ならば開けても問題はないだろう、とパラガスは取っ手に手をかけた。
が、ここで扉を開けたら最後、もしかしたらブロリーの気弾が飛んでくるかもしれない…と勘潜ったパラガスは思い留まる。
そこでパラガスは、ドアののぞき穴から二人の様子を伺うことにした。そこにはブロリーと、そのブロリーの逞しい背中に己の背を預けている名前の姿があった。
二人には何処と無くぎこちなさを感じる。
そこでパラガスは、ふと我に返った。


「…(覗き見などと…。いい歳して私は一体何をしているのだ)」


そんなことを心の中で思いながらもパラガスは覗くのをやめない。傍から見ればただの変質者である。
その後も、パラガスは暫く様子を伺うもこれといって変化はなかった。ただ、互いの手が少しでも触れると互いにパッと離すという行為だけが繰り返されていたのだ。
それでも好き合っているのは一目瞭然。


「こ、これは…まさか!」


二人は好き合っているもそういった関係ではない。それに気付いたパラガスは「これは私がなんとかするしかあるまい」と意気込みとある一室へと向かった。


「科学者よ」
「およ?パラガス様」
「…話がある」
「……?」
「私と科学者の二人で、ブロリーと名前をくっつけようではないか!」
「おおっ!!!」


返事をしたの科学者ではなく、ならず者達だった。一体どこから湧いて出てきたというのか。何はともあれ、二人にとって迷惑以外の何物でもないパラガスの作戦は、その翌日に決行されることとなる。


一日目。パラガスは科学者に「ブロリーの背中を押してみる作戦は如何ですじゃ?名付けて押し倒し作戦ですじゃ!」と高らかに言われる。そして二人の姿を見つけたパラガスは何食わぬ顔で近付き、ここぞとばかりにブロリーの背を名前目掛けて力いっぱい押した。しかし、パラガスの力であのブロリーが動くわけがない。結果、ブロリーに睨まれ失敗に終わる。


二日目。パラガスは科学者に「ならば名前の背中を押してみる作戦は如何ですじゃ?名付けて逆押し倒し作戦ですじゃ!」と言われる。しかし、この日の二人はどこかに出掛けてしまったらしく宮殿には居なかった。またもや失敗に終わる。


そして三日目の今日。パラガスは科学者に「名前を紐で縛ってブロリーの部屋に置く作戦は如何ですじゃ?名付けてプレゼント作戦ですじゃ!」と言われる。
パラガスは科学者に言われるがまま紐を用意し、名前の部屋へと向かった。
…それにしてもこの科学者。その身の割には言うことがいちいち派手である。


「三度目の正直とはよく言ったものだ。…ふふっ。さあ、ブロリー!私からの最高のプレゼントだ!待っていろ!!」


そして、名前の部屋の前に到着したパラガスは不気味に笑っていた。
それから、がちゃー。ノックもせず名前の部屋のドアを開ける。しかし、パラガスは開けてしまったことを酷く後悔した。
なぜなら部屋に居たのは名前と、此処いるはずのないブロリーだったからだ。
…恐らく、ブロリーはパラガスの思惑を察していたのだろう。
案の定、パラガスと目が合ったブロリーは、身を挺して己の背に名前を隠した。


「親父…なんなんだぁ、その紐は」
「!!?」


…仏の顔も三度撫づれば腹立つる。この言葉をご存知だろうか。
そして仮にもブロリーは伝説のサイヤ人、仏とは程遠い存在。むしろ、ブロリーがここまで我慢出来たことの方が奇跡だ。


「その紐で何をしようとしてたんだ?」
「…ブ、ブロリー。これはだな……」


パラガスは迫り来る危険を本能的に知った。途端、サァーと血の気が引いていく。
パラガスは焦った、混乱した。そして何を思ったのか、パラガスは紐で名前をぐるぐる巻きにしてからブロリーに差し出す。


「…ど、どうぞ?」
「…それは何のつもりだ?」
「わ、私からのプレゼントだ!!」
「……」
「有り難く思え!」
「……」
「…ブ、」
「親父…、今楽にしてやる」


膨大するブロリーの気が部屋中に立ち込める。結果、三日目も失敗に終わった。
そして、その数秒後。けたたましい爆発音と共に「パラガスさん、アウトー!!」と、楽しそうな声が聞こえてきた。




りこちゃんから頂きました、ブロリーのお話です!あまりにも理想通りに出来上がっていて一瞬りこちゃんと以心伝心したんじゃないかと思いましt((デデーン☆
パラガスの頑張りにホロリと来ました。そしてまさかのならず者達のご出演に大爆笑させて頂きました!もう私のツボを理解しきっているようですね…!ブロリーに好きな子を縛ってあげるなんてお父さん大胆なんだから!アリガタクオモエ!なんだか映画の時の彼らの声が脳内再生されました(笑)タコ科学者も素敵なご提案をありがとうございます^^ ではでは、りこちゃん!本当に面白くて素敵なお話をありがとうございました〜〜!!