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昔、まだ私と花宮真の関係が、マネジャーと選手だった頃、素敵な人と結婚したら外国のお洒落なレストランで優雅に食事がしたいと話したことがある。まずは結婚なんて無理だ馬鹿という罵倒から始まり喧嘩になった事があった。もちろんどちらも謝らなかったので最終的には、ザキくんに苛立ちの矛先が向いたのは懐かしい。そうして、大人になった私と真は、結婚をして、イタリアに旅行に来ていた。

石煉瓦の建物が綺麗な町並みのこの場所を少しだけ良い服をきてキョロキョロしなから進むと一軒のリストランテに入った。真はカメリエーレのボナセーラという挨拶に綺麗なイタリア語で返した。

雰囲気の良い店内を案内され、猫をかぶった真は私をおいてしばらく物腰の柔らかなカメリエーレと話をして私の分まで注文をした。外国の古洒落たお店でそわそわとしてしまっていた。反対に真は堂々としていた。綺麗に盛り付けられた料理が運ばれ、慣れない手つきで食べれば、思わず口が綻んだ。
「美味しい。」

「お前の不味い飯の200倍美味い。」

「そんなに言うほど私の御飯不味くないもん。」

そう言ってフォークを口に運んだ。確かにプロの味には負けるけど、と笑えばすこしだけ真も笑った。メインディシュにジェラート、美味しいワインを飲み、左手の薬指を見つめた。

「真、高校の時の事覚えててありがとう。」

「何の話だよ馬鹿。」

「私が、素敵な旦那さんと外国のレストランで食事がしたいって話。」

「はあ?お前の為じゃなくて俺のためだから。」

「素直じゃなーい。」

頬を膨らませて言えば、うっせーブスとお洒落れなお店に似合わない罵倒がとんだ。席を立ち、カメリエーレの案内で、 会計を済ませた。店の外に出ればひんやりした空気にぶるりと震えたが、真が私の手を握り珍しく紳士的な立ち振舞いでエスコートした。

あの日語った夢の続きを覚えている



20121105
企画アイオーン様に提出。

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