天の美禄に召されまして




1.彼等は死を悼む





以下は英国に住む仏蘭西人の踊り子の心情である。


「母が死んだ。男性客相手に毎日酒を呑んでいた事がきっと原因だ。露西亜人はウォッカを沢山呑むからあれ程フリをして過ごせば良いと云ったのに、母は結局あたしの云う事なんか聞いてはくれなかった。飲み過ぎで死ぬなんて、自業自得。だからあたしは哀しまないし同情もしない。葬式? そんなものする暇もお金もない」






茶色の長い二つの三つ編みを揺らし、そばかすのある白い肌をした女性は、コルセットでこれ以上ない程に締め付けられた豊満な肉体を大きく反らし、両手には紙袋に入った大量の帽子を抱えていた。彼女の黒色の靴は身長を五センチ以上誇張出来るそれであり、故に彼女の不安定に揺れるピンヒールは、傍から見ていていつ折れやしないか冷や冷やするものである。
化粧もしていなければ靴下も履いてなく、ストライプ柄のドレスを大きなリボンを背中で結っただけで着ている彼女は普段こそ商売柄身だしなみには気を付けているのだが、今日に限らずこの時間のこの場所(夕方過ぎ、街から離れた川の側)ではあられもない恰好で居るのは、単に此処の道を誰が通る事もない事実を、長年住んでいて知っていたからに他ならない。彼女は家畜小屋のように粗末な自分の家の隣にある古びた荷車に遠慮なく、羊が座っているかも確認せずに紙袋を置いた。その時である。

「ぶわっ!」

少女だか少年だか判断のつかぬ、子供独特の甲高い声が紙袋の下から聞こえてきた。視界を紙袋で遮り、頭を固定観念で動かさなかった彼女はそこで漸く目を見開いて、急いでそこから紙袋をひょいりと退ける。するとそこに居たのは、人形のような小さな少女。金糸のようなショートの金色の髪に、この間彼女が事業で成功しているとかいう観客にねだった(結局買っては貰えなかったが)エメラルドのような緑の瞳。リボンを好んで付ける彼女は生粋の女らしい女であり、得体の知れない少女を訝しがる前に、陶器のように美しい肌と桃色の小さな唇をまじまじと輝いた瞳で眺めた。

次いでビスクドールのような少女の高級そうな服を見て、これまた感心したように声を漏らす。ピンタック付きのクリーム色のシャツの襟元にある深緑色のリボンはよく映えて、真っ白な血統書付きの猫の首輪のよう。ただ、少女が穿くのは何故かレースの付いたスカートではなく膝上ズボンであり、それが彼女の唯一のお気に召さないものであった。更に云うなら、そこから覗く下肢の靴下は王冠のデザインで可愛いけれど体躯があまりにも貧相だし、靴もまるで紳士が履くような茶色の靴。

惜しいなあ、等と残念に眺めていたが、彼女はそこで覚醒したかのように、驚愕した少女に向かって質問を投げかけた。

「貴女、誰?」

すると大人しくしていた少女は気まずそうな顔を見せたと思えば、次には観念したかのように溜め息を吐き、聞きたい事は名前ではないよね、と独り言のようにぼやいた後、可愛らしく首を傾げてから、

「…仕事をボイコットして逃亡してきた人、的な?」

等と云うものだから、彼女は呆れた。聞けば今日は慌てて来たものだから財布も忘れ、人が住んでいる気配もなかったものだから、荷車の上で一晩を過ごすつもりだったと云う。野犬か放蕩者にでも襲われたらどうするだとか、風邪を引くだとか色々云いたい事があった彼女だが、取り敢えず今は少女と冷える外で話す事は肌にとって得策であるとは云えなかったので、家に入って話そうと彼女は云う。すると少女は疑いもせず、嬉しそうにお礼を云って彼女の後を歩く。あたしが極悪人だったらどうするのだと彼女は思わず云いかけたが云わず、狭いその家に招く事にした。






「で、仕事のボイコットですって?」
「そう。口煩いのが入ってきてさ、うざったくて」
「へえ。何だか羨ましいわ、あたしは抜け出したら散々怒られるからそんなこと出来ない」

少女は座りながらピンク色の陶器のカップで紅茶を呑み、女性は忙しく服や帽子や靴で一杯の部屋のクローゼットを漁りながら話をする。上から垂れてくる水玉のリボンが顔に当たり、女性はうっとおしげにそれを払う。話してみると少女は意外や意外、毒舌で、話も通じて存外楽しい。女性にしてはあっけらかんとした気性の彼女は少女と意気投合したらしく、良ければ屋根裏が空いているから何日か泊まって行くと良いとまで云う始末。少女も遠慮を知らず、ならばとそれを頂いた。
胸元の開いた大胆な水色のドレスを手に持ち、金縁の全身鏡に当てて自分を見ながら、

「仕事の内容は? 服からして仕立て屋か何かかしら」
「葬儀屋」
「あら」

思わず彼女は、ソーサーにカップを一旦置いた少女を見てしまう。意外性に驚きはしたものの、少女の案外の態度を思い出してそれならばと納得し、腹部から胸部にかけてピンクのリボンの連なったそのドレスを着る事に決める。先程までの粗末なストライプ柄のそれを脱ぎ、真っ赤なコルセットをきゅうきゅうに締める。次いでペチコートを乱暴に取り出してそれを穿こうとするが、見れば少女は視線を逸らしている。恥じらうこともなかろうに、気になった帽子でもあったのかしらと思いながら、女性はペチコートを穿いた。

「こう見えても僕、幹部でさ。1番偉いんだよ」
「えぇ? 幹部より偉い官職もあるでしょう?」
「そうなんだけど、諸事情。兎も角、僕がお偉いさんなんだよ。なのに彼、この僕を叱るの」

全く信じられないと溜め息交じりに云う少女の年齢はどう上に見ても二十歳過ぎには見られなく(寧ろ普通に見て十五程が妥当)、彼女はもしかしたら少女は亡くなった創始者の子供か何かだろうかと自己完結をした。王が死んで年端も行かぬ王子が王となるように、そのような事がない訳でもない。
ところで彼女、それよりは少女の可愛らしくない一人称が気にかかり、ドレスも未着でコルセットとペチコートだけの豊満な身体を出したまま眉を上げて、

「僕だなんて田舎臭い。私、でしょう」
「え?」
「一人称よ。貴女折角類い稀なる造型なのに勿体ないわ。彼氏も出来やしない」

少女が反射的に彼女の方を見そうになり、だが何とか気が付いて顔はそのままで何かを云おうとしたところ、扉に控え目なノックが響く。誰かしらとぼやいて彼女がそのままの恰好で出ようとするものだから、少女は流石に驚いて、

「君、そんな恰好で出るの!」
「あら。悪い?」
「決まってる!」
「ううん、なら貴女が出てくれる?」

何が駄目なのか理解しがたいとでも云わんばかりの彼女に少女は頭痛がし、奥に行っててと云って入口へ向かう。すれ違う際少女から微かに香ったのは彼女も知る男物の香水で、あら、と彼女は今一度首を傾げる。服から出る女らしからぬ華奢な肢体を見ながら何か疑問がわき出てき、その正体の解らぬまま考え込んでいると、扉が開く音。そして少女が悲鳴に近い声を出したと思ったら、刹那少女のその体付きからは有り得ない程の力で閉じられたであろう扉の爆音がし、来訪者がガチャガチャと乱暴にドアノブを回すのを必死に阻止する少女の姿があるものだから、

「なっ、な、何! 強盗?!」

今日一番の慌てた顔で女性がふためくが、少女は返事をする余裕すらないらしく、黙ってドアノブを手前に引いて唸るのみ。
だが単純な力では負けるのか、その抵抗虚しくドアノブが完全に回る音。扉は前方へ引っ張られ、女性は絶叫し少女は来訪者の身体へ必然的に反動で寄せられる。銃声が鳴り響くかと思いきやそれが鳴る事はなく、その代わりに、

「…クイーン! この、莫迦!」

叱責する青年の声と共に、頭を叩く軽快な音。見ればそこには肩までの跳ねた黒髪の青年が居り、その優れた妖艶とも云える日本人であろう彼の容姿に、女性は思わず身を乗り出した。そんな女性に気が付いた彼は彼女の姿を見るなり冷静そうな顔立ちをみるみる羞恥で赤くして、再びクイーンと呼んだ少女の頬を摘まんで、

「いひゃいいひゃい!」
「──〜っお前は何で、着替え中の女性と同室に居るんだ!」

すみません失礼します、と礼儀正しくお辞儀をしてクイーンを引っ張り真っ暗な外に出た彼を見ながら、女性は『少女の性別が少年であった』ことを此処で漸く理解した。そして扉越しから聞こえる責任感がないだの書類が溜まってるだの予定が詰まって云々と叱咤する声を聞きながら青年が誰であるかを鋭く理解もして、

「確かに、口煩いかも」

少女もとい少年であるクイーンを助けるべく、女性は例のドレスに身を包んだ。





「アリス、ね。性格には合ってないけど、見た目にはよく合った名前ね、貴方」

一応ドレスは着たから入って、と帽子を結う為の青色のサテンのリボンを咥えた彼女に促され、最初はもう連れて帰るからと遠慮しようとした日本人の青年アリスは謝罪もしなくては失礼であると思ったらしく、不貞腐れるクイーンを引っ張り素直に家へとお邪魔した。因みに彼女の水色のドレスは胸元が大胆な仕様であったのでアリスは気まずそうな顔をしたが、見るなとでも云わんばかりに黒の革靴を少年の靴で踏まれたので、アリスは視線に気を付ける事にする。対して女性は、貴方のその黒のズボンもだけど、黒の長袖のシルクのシャツは仕立ても生地も凄く良いわね、何処のブランドなのと、お気楽なものだが。

自分は日本男児であり断じて女のようなこのような名前は似合わないと云いかけるアリスに、赤色のマニキュアの塗られた手で手鏡を覗きながらチークをし出す彼女は、

「アリスの腰の筒みたいなの、なあに? 日本のステッキか何かかしら」
「ああ…や、えーと」
「そんなところ」

云い淀む本人の代わりに答えたのはクイーンで、その回答は兎も角顔は拗ねたものであったので、アリスは少し怒り過ぎたろうかとも思ったが、数日に一回はボイコットを起こす我が儘な態度を直ぐに思い出して自分は悪くないと思い直し、また自分は不本意に「お目付け役」なんて官職なのでそれを真っ当していると云い聞かせる。時に同年齢にも関わらずクイーンが小さく幼い見た目をしてるので、罪悪感が過ぎる事があるのである。
単純な力は未だしも、『勝負をしたら何であれ勝てないであろう彼』に罪悪感を覚えるのもおかしな話であるが。

「そうなの。…ああ、それじゃああたし今から仕事だから出て行くけれど、もう遅いしアリスも泊まってったら? 狭いのが苦でなければ、だけど」
「え。否、悪いですし…、大丈夫です。こいつも連れて帰ります」
「でも、夜の此処ら一帯は物騒だから危険よ」

ガラの悪いのが多いからと云う彼女に、それこそ心配ないとアリスが口を出す前に、彼女は少々強い口調で腰に手を当てて反論する。まさか咎めるようなそれを頂くとは思わなかったアリスは、絹の帽子を被って朝方になったら帰ると云い残し出て行く彼女に結局断り切れず、さり気なく勝ち誇った顔で嬉しそうな様子を示すクイーンに気が付くことはないのだが。

「貴方、クイーンが襲われでもしたらどうするの? 助けられる? 解ったら泊まってって!」

彼女の先程の最後のこの言葉、これこそ心配ご無用であり同じ葬儀屋仲間が聞けば失笑してしまうこと請け合いなのであるが、完全にクイーンを可愛らしいだけの少年と勘違いしたまま居なくなった彼女にアリスは説明する術もなく、落ち込む彼を余所にクイーンは大層ご機嫌な様子で屋根裏へと階段を歩いて向かって行った。そのような唯我独尊の彼を見て溜め息一つ、もうどうにでもなれ、とアリスは小さく呟いた。シャワー借りて良いかなあ、などと呑気に声を弾ませて尋ねる少年の頭を叩きたい衝動に駆られながら。






「貸して貰って云えた義理じゃないけれど、窮屈の次元超えてるよね」
「…。お前はどれだけ女王様なんだ」

宿泊場所である屋根裏部屋。屋根は斜めに傾き埃も被り、真ピンクの羽の付いた華美な仮面や蓄音機の置かれた一層ポプリの香りも強烈なそこは確かにお世辞にも快適と呼べる空間ではなかったが、それでもアリスはそれに不満を漏らすようなことは決して出来ない。無論、彼の過去が中々どうして苦労に満ちた苦渋の生活であったことも関与するが。
クイーンは都合良く彼の言葉が聞こえなかったフリをして、白のシーツが敷かれたベッドへダイブする。幾分か固く寝心地は良くはなかったが、荷車のあれよりは数倍マシであると今度は何も云わなかった。
今日はひたすら歩いてたので、悠々自適に横たわれることの嬉しさを噛み締めながら暫く枕に顔を埋めて足を自由に動かしていたが、そこではたと気付く。もしかしなくとも、ベッドは一つしかないではないか。

意識をしたらみるみる顔を赤く染め、さり気なさを装って枕から微々たる動きで顔を上げてみたところ、アリスは壁を背もたれにするよう座っていた。しかも、何かがあっても対処出来るようと腰の日本刀を両手で抱えて。これにはクイーンも呆れる他ない。

「君、何やってるの」
「は? 寝るんだろ」
「…もしかしなくともそこで?」

真顔であっけらかんと云うものだから危うく流されかけたが、アリスが座るのは温かなカーペットすら敷かれてない寂しい床である。そして背には壁。加えて掛ける毛布すら存在しない。勿論アリスは普段からベッドで寝ないような習慣を持ち合わせない。

「そりゃあ、ベッドは一つしかないし、お前が寝るだろ」

さも当然と云わんばかりに、寧ろ何を当たり前のことを云うのだとでもいったようなアリスの態度に、彼はこれだから苦労人のレッテルを貼られるのだと一番迷惑をかけているであろう少年はほとほと呆れた。もっと図々しくせめてジャンケンで勝負して勝った方がベッドだとか、歳相応にそれ位は云っても罰は当たらぬのに、と。これが日本人特有のものなのか彼自身のものなのか、生憎英国人である少年は解らなかったが、どうせ譲ると云っても彼が受け取らない事は今までの付き合いで自明のことであったので、見るに見兼ねただけだ、と己の中で云い訳をしながら、逸る心臓を情けなく思い、極力声の震えぬよう「じゃあ」と切り出して、

「一緒に、ベッドで、寝ようか」

発言してから恥ずかしさに枕へ一気に顔を埋めたい衝動に駆られたが、それは男として少年は我慢する。が、矢張り言葉の意味を理解出来ず目を瞬かせるアリスと目を合わせるのも不可能で、不可抗力に枕に顔を埋めた瞬間アリスも咀嚼出来たらしく、こちらも顔を一気に赤らめた。理解出来たところで更なる困惑を招いたらしい彼は、羞恥で染まる顔を見られたくないのか右手の甲で口元を隠しながら、

「おっ、まえ、何云って…!」
「や、だってそんな、僕だって一人知らん顔でベッドで寝られるような傍若無人じゃないし…!」

先程までの静かな空間は何処へやら、内容は親切であるかも知れないものの、声を荒げながら云い争いのように話す。アリスが頑に自分は此処で充分であると云い張れば、クイーンも莫迦ではないのか等と云う。どうやらこの2人、共通して中々どうして頑固である。
その内先に不毛な云い争いである事に気が付いたのはアリスの方で、呆れたような恥ずかしいような顔で、

「もう良いから寝ろっ!」

そう云って俺は寝るとでも云わんばかりに目を瞑ったと同時、扉近くのクローゼットからガタンと重厚な音がする。どうやら中で何かが落ちたようであり、2人は互いに顔を見合わせる。これが服がハンガーから落ちただとかの話であれば良いのだが、中に青銅の置物が入れてあって何処かの箇所が壊れてしまっただとかの話であったら部屋を借りた手前、報告と謝罪をせねばならない。音からして後者の可能性の方が高いので尚更に。
これ以上迷惑をかけてしまっては幾ら謝っても謝り足りず、払うお金の事まで考えながらアリスは溜め息を吐き、日本刀を片手に徐に立ち上がる。クイーンの視線を受けながら、クローゼットの前へ立つ。そしてドアノブに手をかけると同時に、違和感を覚える。多くのポプリの香りで誤魔化してはいるが、その前に立つとよく解る。アリスは目を細めた。

「…アリス、どうしたの?」
「腐敗臭。相当のものだから、猫とかじゃなく人間のものだな」
「…。この部屋のポプリの香りが特別キツイのはその為か」

途端両者とも至って真面目な顔になり、アリスは警戒しながらクローゼットの扉を慎重に開ける。そこから出て来たのは華やかな衣装でもなければ青銅等の置物でもなく、悍ましい程の大量のピンクのポプリ達と白骨化された死体である。先程の音は死体の骨がバランスを崩して動いた音であろうと考え、扉を開ける事で途端浮き彫りになったポプリによっても消えない腐敗臭に顔をしかめながら、その死体を見る。特に切られた外傷のような跡もない。

「性別解る?」
「何とも云えないが…、大分小さいから恐らく女性」
「死後どれ位?」
「白骨化してるから、1年…若しくはそれ以上」

アリスが『女王様』の方を振り向くと、彼は顎に手を当てて何かを考える素振りを見せていた。恐らく考えている事は、「彼女が犯人かな?」と云った辺りからも同じである。ポプリを置かれている事からも彼女が死体の存在を知らない事は明らかに有り得ないであろうし、となると彼女が死体を然るべき対処もせず遺棄している事は勿論、もしかすると彼女自身が殺人鬼である可能性も考慮出来る。
アリスはクイーンと目を合わせたまま、

「何か身を守るものは?」
「槍は流石に持って来てないけど、この間遊ぶ双子から没収したウォーレン・トーマスのナイフなら」
「充分」

そう会話をして、アリスはクローゼットの扉を閉めた。先程居た場所に戻って座り、朝帰りと云ったが彼女は夜中戻って来るかもしれないだとか、あの死体と彼女の関連性の推測を話す。知り合いで揉め事になったのか、彼女は無差別殺人鬼で自分達みたいに泊まって来た者を殺めるのだろうかとか、或は彼女は殺人鬼でなく致し方のない理由で死体を遺棄しているのかとか。
ともあれ、彼女が人殺しではないと証明も出来ない以上、さっさと家から出るのが2人にとっては得策な訳なのだが、クイーンが至って真摯な表情で『遺棄された死体の埋葬の必要性といずれの理由であれ彼女に事情を尋ね助ける(更生の意味であれ、そうでなければ手助けの意味であれ)必要性』を説くものだから、アリスは彼の何だかんだの面倒見の良さに苦笑を漏らしながら、

「解ったから。彼女が帰って来るまで見張っておくから、お前は寝とけ」

再びまたベッド云々を議論する前に、先手を打ってそう云った。クイーンは不満げな顔で頬を膨らませたものの、納得して横になる。
暫くして、可愛らしい小さな寝息が聞こえて来た。



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