あなたを想う
1〜6話:終
☆まえがき★

原作ベース。甘々。

一護の名前の由来にからめて、雨竜を想う一護を書きました。

愛を誓う一護。

{2006年07月作}

##H1##1話[全6話]##H1##
頭の後ろで腕を組み、それを枕代わりに天井をじっと見ていた一護は、ふと思い立って、隣に眠っている雨竜の方を向いた。

その優しげに眇められた瞳に、まだどこかあどけない頬が視界に入る。

規則正しい安らかな寝息。

先程の行為が激しすぎたのか、ほとんど気絶するように眠りに落ちていた雨竜だった。

力なくベッドに投げ出されている、意外に華奢な肩をそっと抱き寄せても、完全に意識を失っているようで、雨竜は目を覚まそうとしない。

その幼いとさえ言える邪気のない寝顔を、じっと一護は見つめた。

あなたを想う##H1##2話##H1##
普段の気の強さと言ったものは、すっかりなりを潜め、今の雨竜は儚げですらあった。

まるで彼の身の内の脆さが、表に現れたかのようだ。

いつもは堅い殻で覆い、全てを隠しているけれど……。

一見、とても強そうで冷静に見える雨竜の、こんな弱さを知っているのは、きっと自分ぐらいなものだろう。

「そんな所にも…惹かれちまうんだよな……」

何より心惹かれたのは、彼の水底のように澄み切った漆黒の瞳だった。

冷たく冴えた、そのくせ内面は誰よりも熱く激しい、傲慢とすら思えるその眼差し。

あなたを想う##H1##3話##H1##
そして、それに相反するように、優しく脆い、繊細な心。

冷たい素振りをするくせに、いつも他人の事ばかり思いやって、そうして些細な事で傷ついているのを知られないよう、ガードを堅くする。

自分を鎧う。

傷つきやすい純粋な心。

それを知った時、生まれて初めて、一護は心から他人が欲しいと思った。

手に入れたい。

あの瞳を、自分だけのものにしたい。

出会った当時、それはまだ恋とも愛とも言えぬものだったが、年を経るにつれ、次第にその感情は強く、明確になっていった。

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そして―――――

一護は手に入れたのだ。

強情で、意地っ張りな………愛しい人を。

「う……ん……」

寝返りをうった雨竜が、子供のように人の温もりを求めて、一護の方にもぞもぞと擦り寄ってくる。

その仕草があんまり可愛くて、一護は雨竜の髪にそっと口付けた。

愛しさに、胸の奥が締め付けられる程だ。

こんなにも自分以外の者を愛せる事は、きっと凄く幸せな事なのだろうな…と思う。

多くの人は、そんな相手に巡り合えないまま、一生を終えていくのだろうから。

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うんと小さい頃、“一護”って名前は「何か一つのものを護り通せるように」という意味でつけたんだ、と親父に聞いた。

最初は、おふくろを護りたいと思った。

妹が生まれて護る対象が増えた。

護る為に道場に通い続け、少しずつ強くなって、もっともっと沢山のものを護りたいと思うようになった。

その時は、何か一つのものだけを護るなんて、そんなの選べるわけがない、と思っていたけれど………。

今では、親父が名前に込めた本当の意味を、理解できるようになった。

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“一護”

その名前の通り、この先どんなに苦しくても、例え彼に必要とされなくなっても、この一つの想いは絶対に貫き通してみせる。

これから先も、こうして彼の眠りを護ることができるように………。

一護は己の心に誓う。

「……石田……」

腕の中の愛しい人の名を優しく囁きながら、一護はそっと雨竜の眦に口付けた。

それはとても甘く、そして想いを込めた―――誓いのキスだった。


《おわり》


「一護」って名前の由来がカッコイイと思う!!

原作を知らない人の為に補足説明↓
一護は4才当時、たつきちゃんのいる道場に通っていました。


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