地下救護牢シリーズB絆
1〜5話
☆まえがき★
原作ベース。超シリアス。
地下Aで終わりにしようと思ってたけど何か物足りなくて、また続編を書きました。
絆を深める二人の話。
この話は【続・地下救護牢にて】の続きです。
{2004年06月作}
##H1##1話##H1##
夜一達に少し遅れて牢を出た二人は、騒ぎを聞き駆けつけてきた四番隊をかわして、何とか詰所から脱出した。
四番隊の死神達は戦闘部隊ではない為か、詰所を逃げ出した二人を深追いする気配はなかったが、いつ新たな追っ手が掛かるか分からない緊張の中で、二人は先を急いで走った。
しかし雨竜の身体は、戦いで負った傷は四番隊によって手当てされているとはいえ、そう簡単に傷が癒えるはずもなく、今も鈍い痛みを訴え続けていた。
絆##H1##2話
##H1##
その上、霊圧を封じる手錠を嵌めたままの不自由な体勢で逃げる事となった雨竜は、走ったことで急激に体力を消耗してしまったようだった。
雨竜は気力で隠そうとしているが、一護がそれに気付かないはずはなく、間近で見れば雨竜の青白い肌に浮かんでいる汗が熱と気力を奪い取っていくようで、このままではいずれ倒れてしまうだろう。
――――そうなる前に、石田を休ませてやらねぇと…。
どこか休めるような場所はないものかと、一護は辺りを見回した。
絆##H1##3話##H1##
人の往来が激しい本道は避けて裏通りを行くようにしているが、どの道も路地が多く、それぞれの道が複雑に絡み合っているようだった。
どこから敵が飛び出してくるか分からない路上で、休むわけにはいかない。
一護は先へと向かいながら、ときどき建物の間の狭い通路や物陰を窺って、身を隠せそうな場所を探した。
そんな一護の後を少し遅れてついてゆく雨竜は、だんだんと足元が覚束なくなってきていた。
一歩進むごとに疲れが重く圧し掛かり、どうにか持たせていた気力が今にも剥がれ落ちそうになる。
絆##H1##4話##H1##
尸魂界の薬によって傷口は驚異的な回復を見せてはいるものの、急激な治癒は雨竜の身体に相当無理を強いているようだった。
全身が酷く重苦しい。
今にも崩れ落ちそうな身体を支えている膝はガクガクと頼りなく震え始め、とうとう雨竜は壁に寄りかかるように背を預けた。
休んでる暇はないと頭では分かっていても、一度立ち止ってしまうと、疲労からくる脱力感がどうしようもなくまとわりついて、足を地面に縫いとめる。
絆##H1##5話##H1##
背中にあたる白壁のヒンヤリとした感触が、熱をもった肌に心地良い。
雨竜は頭を壁に押し当てるように深く凭れかかり、すっかりあがってしまった息を整えるように何度も深呼吸を繰り返した。
その時。
「ぅあっ…!!」
雨竜の死角から伸びてきた太い腕が、雨竜の肩をガッと掴んだ。
そのまま有無を言わせぬ勢いで、路地裏へと引っ張り込まれる。
「ヘっヘっへ……見つけたぜェ、旅禍ァァ!!」
「……ッ!!」
薄暗い小路に引きずり込まれた雨竜は、死神の集団に囲まれてしまった。
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