小説 | ナノ
おうちに帰るまでが遠足です。


 ――おうちに帰るんです。

「で、俺たちはどうやってテキサスに戻りゃいいんだ」
「ああ、チケットなら私が手配しよう」
「あのう、私たち宇宙船でここまで来たんです」
「そう。宇宙船でひとっとび」
「……なんだって?」
「だから、俺らは宇宙船で飛んできたんだよ。で、その宇宙船はおまえさんを乗せようとして被弾した。だよな、ドリフト?」
「その通りだ。ついでに、一部吹っ飛んだ」
「パスポートは……」
「持ってるわけないだろ。入国手続きもしてねえよ。宇宙船だからな!」
「密入国じゃないか!」
「悠長にパスポートの申請してチケット手配して飛行機乗り継いでたら、到着する頃には空港どころか都市が消えてただろうよ!」
「俺たちはエイリアンだから、入国手続きもへったくれもないがな」
「でも、ハウンド。戻るには俺たち全員を運ぶ飛行機が必要だ」
「豪華客船海の旅」
「駄目よビー。暢気に船なんて乗ってたら卒業式に間に合わないわ」
「よしテッサ、卒業式欠席しろ欠席」
「嫌よ! 私プロムに出たいもの。そんな事いうならプロムの出迎えをクロスヘアーズに頼むわよ?」
「俺は人間なんぞ乗せねえよ」
「ハウンドに手伝ってもらうもの。ね、ハウンド」
「面白そうな話だな。乗ってやってもいいぞ」
「ほう、テッサを乗せるのか。女好きのクロスヘアーズには願ったり叶ったりだな」
「小娘の話に乗るんじゃねえよハウンド。それとドリフト、有機生命体に嫉妬すんな」
「は? 誰が誰に嫉妬だと?」
「あれがブロマンス」
「あー、あれが。さっき検索したけどああいうのもありなのね……」
「ジャパンではビーエルっていうらしいぞ」
「よく知ってるのね、シェーン」
「検索結果に書いてた」
「ビー! 撤回しろといったろう!」
「おまえら黙れ! うるさくてまとまるものもまとまらん!」
「……おまえに指図される覚えはねえな」
「そういえば、叩き斬るのを忘れていた」
「止めてくれるオプティマスは空の彼方だ。どうする? スキンヘッド」
「と……止めてくれケイド・イエーガー!」
「おまえさんが俺たち七人の身の安全を保証するなら止めてやってもいい」
「保証する! 保証するから止めてくれ!」
 おうちに帰る手段は、なかなか見つかりそうにない。

 END


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