「よう、名前。」
後ろから名前を呼ばれた。
振り返れば、金髪の外人さん…ディーノさんだった。
「ぁ、ディーノさん?」
「また”さん”って言ったな。」
「ぁ…ごめんなさい、ディーノ。」
「それでよし!」
ディーノさんは嬉しそうににこっと笑うと
私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「今日も恭弥くんと修業ですか?」
「んまぁ…そんなとこだな。」
私の髪型を崩さない程度に優しく撫でてくれる
ディーノさんの手は温かくて気持ちがよかった。
「恭弥くんの相手だなんて、ディーノさんは強いんですね。」
「まぁな! 恭弥の相手は俺ぐらいにしか勤まらないぜ。
…それより、また俺のこと”さん”付けだぞ。」
恭弥くんは私の近所の家…お屋敷?に住んでいて
私と彼は、世間一般で言ういわゆる幼馴染の関係。
昔はもっと口数も多くて可愛かったのに、今彼は
並盛中の風紀委員長…と言う名の不良くんだ。
「あれ?またさん付けで呼んでました?
ごめんなさい、ディーノさ…
じゃなくて、ディーノ。クセでつい…」
ディーノさんは、何故か私に呼び捨てで呼んで貰いたいらしく
私がつい、さん付けで呼んでしまうと、呼び直させられる。
「俺としては、ほんとはもっと名前には
フレンドリーに話して貰いたいんだけどなぁ。」
「それはちょっと抵抗が…。
だって年上ですし…ディーノは。」
私が困ったように笑うと、ディーノさんはまた
にっこりと笑って私の頭を撫でた。
「そのうち、な。」
おっと時間だ、と言いながら私の頭を撫でるのを止め
くるりと並盛中の方へと歩いていくディーノさん。
私はその背中へと呼びかけた。
「頑張って下さいね、ディーノさん!」
ああ、どうか
呼び捨てで呼んで下さい!
呼び捨てで呼んで下さい!
(まだまだ道のりは長そうだなぁ…)
(何考えてるの?そんな余裕があるのなら、咬み殺す)
(うわっ…ちょ、ちょっと待てって恭弥!)
end
20100919
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男、ディーノの地道な道のり。
あとがき
びみょーに、どこかの右腕さんとタイトルがかぶってますが…まぁ、そこはお気になさらず。
名前変換が一回しか出てこないよ!
ディーノさんと年下主人公(しかも恭弥くんと幼馴染と言う…)この話はリング戦前の時間軸ですね。
この辺りが私的に好きだったり。
それでは、ここまで読んで下さってありがとうございました。
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