短編ログ | ナノ
もう一度だけ

ねぇ、お願い目を開けて。
その赤と青の瞳にもう一度!

…もう一度だけでいいから、ねぇ


( 骸 )


ど、う して…なん、で
何であなたは血まみれで…眠っているの?

なんでなんでなんで
どうしてどうしてどうして

死んだふりなんて、やめてよ ねぇ。
意地悪なんかしないでよ。

ほら、早く目を開けてよ。
また、いつもみたいに笑ってよ。

クフフ、って笑ってよ!

だめ、だよ。
勝手に死ぬなんて許さない から。


( むくろ )


どうして…なんで
こんなにも血まみれで…寝てるの?

わかってるよ、骸。
私を驚かそうとしてるんだ。

ねぇ、そうでしょ ねぇ!
私 十分驚いたからさ、起きてよ。

おきておきておきて
わらってわらってわらって

死んだふりなんて、飽きたよ。
骸の声…聞きたいよ。


( むくろ )


ねぇ、またいつもみたいにさ
喋って笑ってくれるよね?

名前…名前って呼んでくれるよね?
また、ぎゅって抱いてくれるよね?

こわいこわいこわい
しらないしらないしらない

なんでなの!
どうして、目を開けてくれないの。

ねぇ、お願い目を開けて。
その赤と青の瞳にもう一度!

…もう一度だけでいいから、ねぇ


( 骸 )


ど、う して…なん、で
何であなたは血まみれで…眠っているの?

いやだいやだいやだ
しんじないしんじないしんじない


私は骸が死んだなんて信じない!

骸は絶対に目を開けてくれるんだ!

骸は今、眠ってるだけなんだ!

明日にはきっと、私を呼んでくれるんだ!















「……と言うこわい夢を見たんです。」
「それはまた…有りもしない夢を見ましたね。」


「骸は…

 私をおいていかない?」


「愚問ですね。…勿論ですよ。
 名前を置いて逝ったりなど絶対にしませんから――

 安心して眠りなさい。」


「…ありがとう。おやすみ、骸。」

 大好き。


(おやすみなさい、)
(僕の愛しい人)


end

20100905
20101204 修正

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