短編ログ | ナノ
残酷で甘美な

雑音に紛れて聞き取れないと思ったのか
あなたはボクにこう言い残していった。


「     」


どうして、なぜ?
最期になって、このボクにそんな言葉を?

今となっては分らない、あなたの真意。
あなたの声はボクにちゃんと聞こえていた。
真っ赤に染まった、真っ黒なボクに。

どうして、何故だ何故だ何故だ
もうあなたはボクの前に居ないのに。


ボクはあなたを――――ア イ シ テ イ タ ?


その言葉はあの時のボクには
残酷で、同時に甘美で、

ボクの糸で脆く崩れていったあなたは今…


ボクの前には居ない。


どうして、なぜ?
最期になって、このボクにそんな言葉を?

そうあなたに問うことが許されるのなら
ボクはどれだけ楽になることが出来るのか。
真っ赤に染まった、真っ黒なこのボクは…


あなたもボクを――――ア イ シ テ イ タ ノ ?


どうして、分らない分らない分らない
もうあなたはボクの傍に居ないのに。

涙も涸れて、ボクの心に残ったのは
あの日のあなたの言葉と真っ黒な感情だけ。

真っ赤なボクは居なくなった。
そして、あなたも…


もしも、この真っ黒なボクも居なくなれば
いつか、あなたはボクの元へ帰ってきますか?


(名前……愛しています)
(ボクもあなたを愛しています)


end

20100831
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翔和様へ

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