ある日の談話室に、ベルが寝間着姿でやって来て私にこう言った。
「名前ー 王子の赤のボーダー知らね?」
ベルはボーダーの服ばっかり、好んでよく着ているのを知っている私は一体どの赤のボーダーを探しているのかが分らない。
「赤のボーダー?え、どれのこと?」
「ほら、この前買ったヤツだよ。」
「この前買ったって言ってもねぇ…
すごい量を一辺に買ってたから私には分かんないよ。」
「うわー名前、役立たずー」
「無くしたベルが悪いんでしょ!?
第一、あんな似た色の赤を買うベルがおかしいんです!」
無くした方が悪いのに、なんで私が役立たず呼ばわりされなくちゃならないの?
そんな疑問をベルに問えば、おなじみのいつものセリフで返された。
「だって俺、王子だもん。何名前、王子にケチつけんの?」
「ケチを付けるとか、そんなんじゃなくってね?」
「う"お"ぉい!! 誰か俺のシャンプー知らねぇかあ!!?」
険悪な雰囲気が二人の間に流れていると、バアァンと大きな音を立てて救世主が入ってきたと思ったら、この救世主もとい、KYな鮫は、シャンプーを探しているらしい。
「す、スクアーロも何か無くし物?」
「あ"ぁ"? お前もか?」
「あー 私は違うんだけど…ベルのボーダー服が無くって…。
スクアーロは知らない?ベルの赤いボーダー服」
「ベルの赤いボーダー服だぁ?? 昨日着てたやつじゃねぇのかよ?」
スクアーロの言ったことは、正しくて…それでいて間違っていた。
確かに、昨日ベルが着ていたものも赤のボーダーだったが…
「違うし…昨日着てたやつは赤は赤でも薄い色のだったし。
え、何。色の違いにも気付けない訳?スクアーロは」
「赤は赤なら、薄いのも濃いのもどれだって一緒じゃねぇかあ!」
「そうでしょ? 私もそう思うんだけど…ベルが、」
ベルはベルなりのこだわりがあるようで、私やスクアーロから見れば、同じ色に見える赤色でも、違うらしい。まったく、迷惑なこだわりだよ全く。
「あーもー ムカついた。
とりあえず名前はサボテンにでもなっとけ!」
「わわっ!いきなり何すんのよ!!危ないじゃんか!
ってか、なんで私がサボテンなのよぉ!」
「王子に意見とか何様のつもりだしー」
「ひゃっ、ちょっと! 今のはすれすれだったんだけどっ!!
す、スクアーロは一人で避難してないで、助けてよ!」
「ダメだ…やっぱりあのシャンプーじゃねぇと…」
私はベルのナイフを避けながらも、スクアーロに助けを求めると…スクアーロは部屋の隅でその十分綺麗な髪の毛をいじりながら、ブツブツ言っている。
「もー スクアーロ!無視しないでよ、ってかブツブツ言うの止めて怖いから!」
「こら、おい!当たれよ、名前!」
「いやいや…わざわざ当たりになんか行かないから、普通。
痛いの嫌だからね、私!」
「あーもう!お止めなさいな、二人とも。」
そこに、本物の私の救世主は現れた。
「おかまは黙ってろ!」
「きゃっ、る、ルッスーリアさん!助けてぇ!」
ルッスーリアさんはベルの投げてくるナイフをもろともせずに、勇敢に私を助けてくれた。
何て言うか…不覚にもルッスーリアさんにときめいてしまう。何故だ!?
「ほらほら、ベルちゃん止めて上げなさい。 名前ちゃんが困ってるでしょ?」
「うるせーし、おかまは邪魔すんなし。」
「あら、そんなこと言っていいのかしら?
このベルちゃんの赤ボーダー服がどうなってもいいの?」
勢い余ってルッスーリアさんの方へ飛び込むと、その逞しい腕に支えられた。
そして、ルッスーリアさんは何処からか取り出した赤いボーダー服をベルにちらつかせる。
「あ、それ…王子のボーダーじゃん。 サンキュー、ルッスーリア。」
「はあぁ…助かった。ベルめ、後で覚えてろ…」
「大丈夫?名前ちゃん。」
「ははは…な、なんとか…って言うか、ルッスーリアさん。
よく見分けが付きますね、ベルのボーダー服。」
ベルはルッスーリアさんから服を受け取ると、さっさと談話室を出て言ってしまった。そして、今だ私はルッスーリアさんの腕の中に居るのが恥ずかしくなって、さり気なく脱出した。
「えぇ…まぁねん。」
「あんなに似た色のものなんて、私には全然見分けが付きませんよ?」
「んふふふっ…女の勘かしらね!」
「…私も一応、女なのですが…」
「まぁ、細かい所は気にしないのよん!おほほほほほほっ」
「う"お"ぉい!!!ルッスーリア!俺のシャンプー知らねぇかあ!?」
大人しく部屋の隅でブツブツ言っていたスクアーロの存在を忘れていた。スクアーロは食って掛かるようにルッスーリアさんに尋ねていた。
「ああ、スクちゃんのシャンプーなら、ボスが使ってたわよ?」
「あんのクソボスは、人に断りも入れずに勝手に使いやがって…」
そんなスクアーロにルッスーリアさんは何でも無いことの様に、彼のシャンプーの在処を教えていた。ってか、ボスさん…何故にスクアーロのシャンプー使ってんですか!?
「ねぇ、ルッスーリア」
「あら、マーモンちゃん。どうかしたの?」
「ファンタズマを見掛けなかったかい?」
「…マーモンとファンタズマっていつも一緒に居る訳じゃないんだね。」
「何感心した様な顔してるのさ、名前。
もうそろそろ任務の時間だって言うのに…ちっとも出てきてくれないんだよ。」
談話室から飛び出して行く、きっとボスの部屋に殴り込みに行って返り討ちに遭うのだろう可哀想なスクアーロと代わりばんこに部屋へ入ってきたマーモン。
この後、任務があるらしい彼の相棒、ファンタズマが居ないらしい。私は、マーモンの頭の上でずっと生活していると思っていたので、びっくりした。
「あの子なら、多分…二階の階段の踊り場じゃないかしら?
ほら、あそこ日当りいいから、昼寝でもしてるんじゃない?」
「…ありがとう、ルッスーリア。 探してみるよ。」
「いいえ。任務、気を付けてね〜ん。」
「いってらっしゃい、マーモン。」
「行ってくるよ。 あ、そうだ…夕食はいらないから。」
それだけ言うと、マーモンは部屋を出て行った。ルッスーリアさんは、元気よくマーモンを見送っていた。
「おっけぇ〜い!分かったわっ」
「おい、ルッスーリア。」
「あ、レヴィさん…」
「ぬ、名前も居たのか。」
いつの間にやら部屋の中にいたレヴィが、ルッスーリアさんに声を掛けてきた。名前も居たのか、って…私の方こそ、レヴィさん居たんですね、だよ!
「あらん?レヴィじゃなぁい、どうしたの?」
「うむ…この間のお前との任務の報告書のことなのだが…」
「報告書? あ〜!この間のだったら、私が書いてちゃんと提出しておいたわよ!」
「そうだったのか!…すまない、ルッスーリア」
「いいのよいいのよ! それより、レヴィ?」
「ぬ?…何かあったのか?」
ルッスーリアさんって、ますますいい人だよね。自分が書かなくてもいい報告書をしっかり書いて提出しちゃうんだもんね。私も見習わないとなぁ…
「雷撃隊の子たちがあなたを探していたわよん?」
「本当か!?」
「ルッスーリアさんが嘘言う訳ないじゃないですか、レヴィさん。」
「名前、貴様は黙っておれ!」
「はいはーい」
レヴィさんは、私の返事の仕方が気に入らなかったのだろう、ぬぬぬぅ、とか言いながら、思い切り私を睨んできた。私も負けじと睨み返してやろうじゃないか!
「ほらほら、大事な部下が待ってるわ!いってらっしゃいな、レヴィ」
「……そうさせてもらう。」
ルッスーリアさんに嗜められて、大人しく引き下がったレヴィ。ちょっとレヴィに勝った気がした。
「あら、もうこんな時間! そろそろおやつをつくらなくちゃね〜」
「あっ、ルッスーリアさん!私も手伝いますっ!!」
「あら本当?助かるわぁ〜名前ちゃん器用だからっ」
「えへへへっ…そんなことないですよ〜」
ルッスーリアさんに褒められて、嬉しくなった単純な私。あーぁ。今日は一体何のお菓子を作るのかな!
ヴァリアーのお母さん的な存在である、彼女(?)は何でも知っている。
end
20100831
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ルッスー大好き(^ω^)
以下はルッス―への私の思い
これはルッスーリア夢と言ってもいいのだろうか?
どっちかって言うとヴァリアー夢?の方が…まぁ、いっか。
ルッスーリアさんに訊けば、探し物はすぐに見つかると思います。
それに、よく気が回って、とってもいい人だと思います。
私の中のルッス姉さんはヴァリアーのお母さんでそんな人です。
それでは、こんな駄文を最後まで読んでくださって
ありがとうございました。
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