「随分と威勢のいい女だな、お前…名前は?」
「今から殺すか殺されるか…
そんな相手の名前を聞いても意味はないと思うわよ。
最強のヒットマン…リボーン?」
気に入ったぞ、と彼はそう呟いて私の首筋に銃口を突きつけた。
私は逃げることも助けを求めることもしない。
私が女だからと言って、覚悟が無いと思われるのは嫌だった。
「何だ、逃げないのか?」
カチャリ、と独特の音を立てて、リボーンは引鉄に手をかけた。
私はただ、目を瞑りその時を待つ。
私が女だからといって甘く見られるのも、情を掛けられるのは嫌だった。
「私は逃げたりも命乞いをしたりもしない。
死ぬのは怖くないが……
もっとも、お前の銃で死んだりするつもりもない。」
「…この状況でそれを言うとはな。
おもしれぇ……やっぱりお前、名前言え。」
「……名前。」
「…名前、か」
背後の男、リボーンは喉の奥で低く笑うと、私の首筋に突きつけていた銃を下ろした。
くつくつ笑うリボーンの声に、私は振り向いて真っ直ぐに彼を見た。
やはり、その片手には銃が握られていたが、もう撃つ気は消失していた。
「何が可笑しい、リボーン」
「いや……お前みたいな、威勢のいい女は初めて見たからな…。」
「お前は私を撃たないのか。」
「何だ? お前は俺に殺して欲しいのか?」
「…私はお前の銃で死んだりするつもりはない。」
「そりゃ、結構だな。」
しばらくの静寂の後、聞こえてきたリボーンの声に私は耳を疑った。
▼▼▼
「何で”あの時”お前は私を殺しておかなかったの?」
「それはあの時言っただろ、”気に入った、だからお前はオレの女になれ” って。」
「…私がお前を殺しておけば良かったか。」
「冗談はよせ……お前だってオレに惚れてただろ?」
沈黙は肯定と取るぞ、と彼は笑う。
ついでに後ろから私のお腹あたりに回されている腕に力が込められた。
何も言わない私に、リボーンはくつくつと笑う。
「リボーン…仕事の時間だよ。」
「いいじゃねぇか…もう少しくらい。
オレが遅れたって、誰も文句は言わねぇさ。
つうかオレが言わせねぇ…」
リボーンは私を軽々と抱き寄せた。
あの時は感じれなかった、彼の温もりは今、ここにある。
死ぬことが怖くなかったあの時、だけど今は…
「リボーン…ダメだ、時間だ。」
「…大丈夫だ。」
「お前が良くても私がダメだ。またアイツに怒られるから、」
「ダメツナにか?」
私が「そうだ」と肯定して言えば、彼がくつくつ笑うのが背中から伝わってきた。
いやになるほど、ゆっくりと、背中から左肩にかけて熱が這う。
ようやく辿り着いた左の耳元で、低い声が空気を振るわせる。
今度オレから言ってやる。
オレの女泣かせたら、たとえお前でも容赦はしねぇ。
「ってな。」
そう言って、私の首筋にくちびるを落としたリボーン。
あの時、彼が引鉄を引いてくれたらよかったのに、と溜息を吐く。
彼の…リボーンの所為で彼が死ぬことも自分が死ぬことも、怖くなった。
死が二人を分かつまで
願わくば、末永く
温かく幸せな時間を
彼の隣りで共有していたい
願わくば、末永く
温かく幸せな時間を
彼の隣りで共有していたい
end
20100830
20100607 修正
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初のリボーン(大人)!!
素敵過ぎる(´∀`*人)
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