「ヤダ。私、行かない」
「え? 行こうよ 名前ちゃん、楽しいよ?」
「ヤダ。絶対行かない」
あーあ。
また言っちゃったよ。
本当に素直じゃないんだから。
もう、こんな自分には嫌になっちゃう。
折角の京子からのお誘いなのに
本当は嬉しくって仕方ないのに。
「行こうよ、私…名前ちゃんと行きたいな?」
「…わ、私は京子となんか行きたくない、もん」
あー。
心にもない事を…言っちゃった。
これで京子と私の友情はついに終るかな。
…なんか、考えてたら悲しくなってきた。
はぁ、京子を困らせてる私なんて大嫌い。
でも、それ以上に素直になれない自分が嫌いだ。
「本当に一緒に行かないの?」
「べ、別に京子には花がいるでしょ。
私となんか行かなくたって、花と一緒に行った方が…」
「名前ちゃん!」
いつもにこにこと温厚な彼女が声を荒げた。
あぁ、ついに京子を怒らせちゃった。
今度こそ、私…京子に嫌われちゃったかな。
ダメ、悲しいなんて思っちゃ…
私は、京子の為を思って…だから
京子には楽しんで来て貰いたかったから。
「…ごめんね、名前ちゃん。急に大きな声出して…」
「な、に 言って…」
謝るのは私の方なのに…
どうして、京子が私に謝ってるのよ。
自分でも分かってる。
なのになんで、ごめんの一言が言えないの?
あーあ。
なんでかな。どうして、どうして。
「私ね、名前ちゃんと一緒に行きたかったから誘ったの…
でも名前ちゃんは私となんて一緒に行きたくなかったよね。
ごめんね、いきなり誘って…」
「――――たい」
「え?」
『私も京子と行きたい。』
良かった。
ちゃんと聞こえてたみたい。
勇気を出して良かった。
私の気持ちは京子に届いたらしい。
京子はまたいつもの様ににこにこ笑って
私にきゅっと抱き着いてきた。
「それじゃあ、何時からにしようか?
ねぇ、名前ちゃん――――」
不意に涙が零れた。
今までの自分は何だったんだ?
あぁ、なんだ。
たった一言じゃないの。
「…名前ちゃん?」
「何でもない…よ。
今までごめんね、京子…私 不器用で素直じゃなくて。」
こんなにもあっさりと、簡単に
彼女は受け入れてくれるじゃないか。
「本当は嬉しかった。京子が誘ってくれて…
私と一緒に行きたい、って思ってくれて…
"ありがとう"
…これからも、よろしく、ね?」
「うん!」
不器用で素直じゃない私の
一番の理解者はあなたです。
私のともだち。
end
20100830
20130607 修正
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お初な京子ちゃん(´`◎)
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