夏の陽射しは暑いけど、今部屋の中はクーラーがんがんに効いてるし、ちょっと寒いくらいなんだよね。
だから、この窓から差してくる太陽光がちょうどいい温かさでぽかぽかしてくる。
ここに手頃なサイズの柔らかくて、いいにおいのクッションでもあったら、最高なのにな…
「ね、マーモン!」
「そんな目で僕を見ないでよ、名前」
そう言って、私から一歩離れた赤ちゃんは名前をマーモンと言う。
ヴァリアー随一の幻術使いであり、霧の守護者でアルコバレーノ。本当の名前は、バイパー。
「ねぇ、ちょっと抱っこされない?」
「遠慮しておくよ。」
「遠慮しなくてもいいのに…」
「ム、ムッ……ちょっと名前、おろしてよ。」
「ふふふっ…おろしませーん。」
腕の中でじたばたと暴れるマーモンをよそに、私はがっちりとマーモンを腕の中に閉じ込めた。彼は精神年齢がいくら高くとも、体はまだ赤ちゃんだ。やっぱり、体温が高くて気持ち良い。
しばらくすると、マーモンは諦めたのか、もがくのを止めておとなしくなった。
「もう抵抗しないの?」
「どうせ逃げたって、君はまた捕まえにくるだろ?
そんな目に見えて分かっていることをするほど 僕は馬鹿じゃないからね…」
「ふふっ…いい子いい子。」
「ちょっ…止めなよ、名前!」
私が頭を痛くない程度に撫でると、不服そうな視線を私に向けてくるマーモン。私はそれに気付かないフリをして、ぎゅっとマーモンを抱く腕に力を込めた。
「やっぱりマーモンは柔らかくて温かくていいにおい…ふふっ」
「…柔らかくて温かいのは否定しないけど、いいにおいって言うのは理解出来ないね。」
「やっぱり自分のにおいには気付かないものねぇ〜 マーモンはねぇ…マーモンのにおいがするの!」
「なに笑ってるんだい。その答えだと、解決してない気がするよ?」
「いーのいーの」
名前はマーモンを抱えなおすと、黙っているマーモンににこりと微笑んだ。マーモンは帽子の奥で伏せていた目を腕の中から見上げる形で彼女に向けていた。
(僕からしたら、君の方が)
(柔らかくて温かくて)
(いいにおいだけどね)
end
20100811
20101115 修正
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抱っこしたい(∀`*)
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