→あなたは三番隊第三席
「名前〜〜!今日は仕事、早よ終わらせて飯でもどや?(二人で)一緒に行かん?」
「市丸隊長が、しっかり割り当てられた量の仕事をしてくれたら、もっと早く行けるんじゃないんですか?」
「よし、イヅルーー!ボクの仕事はどれやぁ〜?」
「「…はぁー」」
私は三番隊三席、苗字名前です。そしてこの人は…私の隊の隊長である市丸ギンです。私がこの隊に配属されてからはや数十年…私は今までに執務が定時に終わったことがありません。
…え?何故かって??
理由は簡単!
私のところの隊長(ギン)が、サボり魔だからっ!毎日毎日、一体何処で何をしているのやら…?
市丸隊長の仕事のしなさ過ぎっぷりには、呆れ果てます。今では、三番隊副隊長イヅルさんと市丸隊長の分の仕事をするのが日課となっている。
「名前くん…この書類確認しておいてね(今日もかわいいなぁ、名前くんは…)」
「分かりました、イヅル副隊長。」
私はそう言いながらイヅルさんから書類を受け取る。(何だかやつれてるな、イヅルさん…)
「名前〜〜、これが一先ず片付いたら、お茶にせえへん?」
「そうですね…。」
「な?…お茶いれてくれるやろ??」
市丸隊長の提案に考えるような素振りをしながら私案をかためる。(あ…今イヅルさんと目が合った……)
「…ま、市丸隊長のがんばり次第ですかね〜(イヅルさんの眼力がっ)」
「名前ちゃんはイケズやなぁ〜(ま、そこんとこも含めて好きなんやけどな)」
余談だけど、この前、他の隊の死神さんから聞いた話によるとイヅルさんは、長年の経験から市丸隊長が何処でサボっているのかが分かるらしい。『継続は力なり』…ん?違うか。
って言うか、ここのところ残業三昧でまともに食事できてなかった気が…
「ま、ボク、名前のいれたお茶飲みたいし、がんばろかな〜。」
「…そうですよ、市丸隊長!がんばって仕事早く終わらせてしまいましょう!」
「おっ!名前もやる気やなぁ。」
「そりゃもちろん、ご飯の為にですよ! 奢ってもらえるんですよね?隊長に。」
「…ああ!うん、奢ったる奢ったる〜」
「やったぁ〜!イヅル副隊長ぉぉおおー!! 市丸隊長が私たちにご飯奢って下さるみたいですよっ!楽しみですねっ!!」
「そうだね、楽しみだね(笑顔もかわいいなぁ…)」
「ちょ、待「よし!今日は急ピッチで仕事がんばるぞっ!!」
私は市丸隊長の言葉を遮って、大声で宣言した。そして自分の席へと戻り、仕事を開始した。
「がんばりましょうね、市丸隊長!」
「…あ、うん…がんばろな〜〜(ホントやったら、名前と二人っきりの食事やったのに)」
その数時間後…人気の定食屋の店内で三人仲良くご飯を食べる市丸隊長と吉良副隊長と苗字三席の姿が目撃された。
「おいしかったですね、イヅル副隊長!」
「そうだね、おいしかったね。名前くん(うれしそうだなぁ…)」
「はぁ〜(名前と二人っきりやったのに…)」
市丸の前を歩く二人の足取りは軽く、二人のあとを行く市丸の足取りは重い。そして、ふと、市丸のため息が聞こえたのか、振り返った名前が足を止め、市丸に近付いた。
「市丸隊長…どうかしたんですか、ため息なんか吐いて…。 もしかして、お腹が痛い…とかですかっ!?」
「ちゃうちゃう!…ほぉら!ボク、こんなにも元気やで。 何?もしかして名前ちゃん、ボクのこと心配でもしてくれはったん??うれしいなぁ〜〜〜!!」
名前が気に掛けてくれたことがうれしかった市丸は急に元気になって名前の正面から抱き着いた。いきなりのことだったので、名前は咄嗟に身をかわそうとしたが、敢え無く失敗した。
「ひゃぁ!っ、もう!市丸隊長っ!抱き着くのはやめてくださいっ!!」
「ええやん、ええやん…減るもんやあらへんし?(名前はやわかいなぁ〜)」
「イヅル副隊長ーー!助けて!!」
「もう!隊長、名前が困ってます!離してあげてくださいっ!」
「えーー、しゃあないなぁ〜〜」
そう言うと、市丸は名残惜しそうに名前の身体を解放した。
「それじゃあ、私はここで…今日はごちそうさまでした、市丸隊長。」
「うん、どういたしまして」
「また、奢ってくださいねっ!」
「ええよ!ええよ!!また奢ったる〜〜(今度は二人で行こな〜〜名前)」
「約束ですよ、市丸隊長!イヅル副隊長!…また三人で行きましょうね?」
「そうだね!」
「市丸隊長?」
「…あぁ…うん、そうやね〜(何でなん、何でなんっ!何で三人やねんっ!)」
市丸の背中がちょっと悔しそうにみえた。
今日は市丸隊長がしっかり仕事をしてくれたおかげで…それも市丸隊長の奢りで、ちゃんとした食事がとれた。たまには隊長にも感謝してもいいかなって。そう思えた、ある日の三番隊の出来事。
end
20100404
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一人称合ってますかねぇ\(^q^)/
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