「私は忍に向いてないのかも」
そんな風に、この のんびりとした青空を
眺めてたらぽろりと口から零れた言葉。
別段強い訳でもなく。
かと言って弱い訳でもない。
実力があると言えば、それはちょっとばかし
見栄をはった嘘になる。
「確かにそうだな…お前は忍に向いていない」
まさか、こんなくだらないひとり言に
返事が返ってくるとは思わなかったから。
私は驚いて、勢い良く振り返った。
そしてそこには…
「…イタチ、先輩―――?」
「…久し振りだな、名前」
私より二期上の先輩にあたる
成績優秀、眉目秀麗…の先輩である彼が
黒地に赤い雲の衣をまとって立っていた。
数年前、彼によって行われた
一族抹殺計画は記憶に新しい。
「…どうして」
「…何がだ?」
「どうして…わざわざ…」
声が震えてるの気付かれちゃったかな。
ま、別にいいか
「お前を迎えに来た」
「…今更なにを」
「待たせて…悪かった…名前」
待たせて悪かった。
彼はそう言って、私を抱き締めた。
詫びて抱き締めたって…
私は、あなたを許してあげないんだから!
(待ってました、あなたを)
(心の底から…毎日)
end
20100805
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夏休み企画11
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