短編ログ | ナノ
心に針

こんばんはー、と可愛らしい声が聞こえて。
ばたばたと駆けて来る音が聞こえれば

つきり、と針が心に刺さるみたいに
胸が痛い。顔が熱い。心臓がうるさい。


「首無? どうかしたの?」


あなたは何も知らずに
ボクへとその澄んだガラス玉を向ける。

酷く冷たい色のその瞳にボクが映れば
さらに、心の針が動き出した。


「いえ…私は大丈夫です、どうぞご心配なさらず…」


無理は禁物だよ、と
あなたはボクに優しい言葉を掛ける。

それだけでボクはどんなに嬉しいのか。
心が舞い躍るかの様に、体が軽くなる。



「首無…アンタ…」

「毛倡妓姐さん…言わないで…」


(ボクはあなたに恋をした)
(私の気持ちをあなたは知らない)


end

20100803
----------
切ない片想い(∀`*)

::62::

×||×
ページ: