短編ログ | ナノ
アイスが食べたい

ねぇ アイスが食べたいんです。
人間と人間の時。


「ねぇねぇ、奴良くん 奴良くん」

「ん? 何 名前さん」

「あのさ、アイス食べたくない?」

「名前さんアイス食べたいの?」

「うん。ものすごーく食べたいんだけど…」

「いいよ、じゃあボク買ってくるね!」

「え!いいの?…ありがとう」


そうして私はアイスを手に入れた。
奴良くんはとなりでにこにこアイスを食べている。

二人で暑い夏の日に、こうしてアイスを食べるのは毎年恒例の行事になりつつある。

あぁ…アイスと優しいくて可愛い奴良くん…。
私、名前は幸せです。



ねぇ アイスが食べたいんだけど。
妖怪と妖怪の時。


「ねぇ、リクオ…」

「お…丁度いいところに来たな。名前、酌してくれねぇか?」

「は?何で私が…雪ちゃんにでもやってもらえば?」

「…雪ちゃん? 誰だソイツは…?」

「ほら雪ちゃんよ、雪女のつららちゃん」

「つららぁ!?? ちょ、お前らいつからそんな名で呼び合う仲に、」

「そんなことよりさ、ねぇ、リクオ!」

「…そんなことよりってなぁ…」

「私、アイスが食べたいんかけど」

「アイス…か? 昼のオレに買って貰ったろ?」

「えー 今食べたいんだけど…」

「はん…我慢しろよ」

「はぁ…夜のリクオはケチよねぇ…それに優しくない」

「オレの何処が優しくないってんだい?」

「…そーいうところよ!」

「あー…そうかい そうかい」


そうして私は酒に付き合わされることになる。
アイスはお預けで、リクオが隣でにやにや酒を嗜む。

二人で暑い夏の夜に こうして酒を飲むのは(って言っても私は酌をするだけ)毎年恒例の行事になりつつある。

あぁ…アイスと優しくて可愛い奴良くんが恋しい。
だけど、でも。

夜のあなたとの時間も、私の大切なモノなんだ。


end

20100709
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翔和様リク

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