短編ログ | ナノ
双眸に映す

「ねぇねぇ、むくろさん。むくろさん?」
「なんですか?」
「どうしてむくろさんの目は両方違う色をしてるの?」
「・・・そ、それはですね、」


「ねぇねぇ、むくろさん。むくろさん?」
「なんですか?」
「その赤と青の目とってもきれいね。」
「・・・そうですか?ありがとうございます。」


「ねぇねぇ、むくろさん。むくろさん。」
「・・・何でしょう?」
「こっち向いて、よく見せて・・・そのきれいな目。」

「この目が見たいのですか?」
「うん。見たい。」
「・・・ですが、」
「えー・・・ダメなの?」


(この僕の目を見たがるとは・・・)

(あなたは・・・恥ずかしさと言う感情は無いのでしょうか?)

(見詰め合うだなんて、僕の心臓が保ちませんよ)



「ねぇむくろ。ダメなの?」
「・・・えぇっと・・」


「はっきりしてよー・・・見せてくれるの?くれないの?」
「・・・そんなに見たいんですか?僕の・・目を。」
「もちろん!」


「はぁ・・・あなたには負けました。」
「・・え? それじゃあ・・・」


「はい。どうぞ・・・」
「・・・!」
「あなたの思う存分、見て下さいな・・」


その美しい赤と青の双眸の瞳に少女は笑顔を映し込んだ。


end

20100629

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