ヴァリアーの任務も無く、今日は日番。そんな私と彼、スクアーロはアジト近くの街に来ています。え?私達が街に行けば、死者が出るって?
……。
やだなぁ…日番の日くらいはそんな物騒なことしませんよ。(じゃあ、あの間は何だったんだ!)なんたって、久し振りの二人一緒のお休み。そして大好きなスクアーロとデートなんですもん!なので私、名前はテンションが上がっています。
談笑しながらエスコートしてくれるスクアーロ。私達は腕を絡め割とゆっくり目に歩きながらウィンドウショッピングです。
「ねね、これすっごく可愛いよ。わぁ、欲しいなぁこのテディーベア」
「欲しいなら買えばいいんじゃねえかぁ?」
「でも…まだ欲しいものたくさんあるし…ってこれ四万円もするの!?高っ!!」
「んな高くねぇだろうがぁ、名前も給料同じだけ貰ってるだろぉお!」
「…いやぁ〜、それがあれがこれでうんぬんこうでして…」
「おいおいおいぃ…何言ってんのか訳わかんねぇぞぉぉお…」
お店の中からガラス越しに私を見つめて来るのはテディーベアです。くりくりのきらりと光るまんまるのお目々がなんとも言えない表情でとってもキュートです。だけど、お店の中に入って値札を見てみたらあらびっくり!何と四万円もする高額なクマちゃんだったのです…。
「うわぁーん、このぬいぐるみ可愛いくせしてこんなにもお金取るのーーーー!」
そう私が喚くと、スクアーロは短く息をはいて「しかたねぇな…ほらよこせ、買ってやるぜぇ?」と言った。
「で、でも……あっ!あの子も可愛い(ってか今日のスクアーロやさしい?)」
「どれだぁあ?」
「ほら、棚の一番上の焦げ茶色の」
「これかぁ??」
ひょいっ
私が棚の上を指しながら言うと、長身を活かしてスクアーロがその焦げ茶のテディーベアを取ってくれた。その紳士的なスクアーロの行動に私はドキッとさせられた。
「…あ、ありがとう(っっ!なんだか優し過ぎる!…変な物でも仕込まれたのかな)」←失礼
「おう、いいぜぇ!」
赤くなった頬を隠すために、私はスクアーロから受け取ったそのテディーベアに顔をうずめるようにして抱き着いた。
結局その二つのテディーベアをスクアーロに買ってもらって店を出た。しばらく歩くと、顔の熱もひいてまた腕を組んで進み出す。そしてやっぱりその時、スクアーロは荷物をもってくれるのだ。
「あっちの服も可愛いぃ!」
「お前に似合いそうだなぁ…」
「あっ…!この服も可愛いぃ!」
「こっちの色の方が名前に似合うと思うぜぇ?」
「え?ほんと?うーん…そっちもいいね!」
何だかんだ言っても、スクアーロは私には甘いと思う。それに、彼なりにちゃんと私に意見してくれるし。
「…なんかお店入るとどれもこれも欲しくなっちゃうねよね」
「あ"?迷うんだったら2つとも買ってやらぁ。」
「ん〜〜〜〜…どっちが良いかなぁ?」
「だから2つとも買ってやるって!」
「だ、だめだよ…さっきからスクアーロに買ってもらってばかりだもん…」
「お前の買い物になら…いくらでも費やしてやるよぉ」
ぼっ!(←顔に火がつきました)
なにぃいいいぃいぃいぃいい!スクアーロがっ!…なんだ?どうしたんだ。いつになく優しいぞ、ってか信じられない感じです。
「や、やっぱりこっちにしとこう。…ねぇ、似合ってる?」
そう訊ねた私にスクアーロはその日最高の笑顔で肯定した。
「っ!!」
いつも素っ気ない態度の君。だけど、やっぱりやさしくて…今日みたいに異常にやさしいのはもしかして…?
覚えててくれた…のかな。
「なぁ、」
「ん?なにスクアーロ…っ」
後ろから声をかけられて、振り向いたらスクアーロの顔のドアップが見えた。そして、唇にひやりとしたやわらかな感触。
end?
(今日は告白記念日なんだぜぇ)
(ありがとう!スクアーロ大好きっ!)
(オレは愛してる!)
(…ば、ばか)
おまけ
アジトへ戻ってきてから、荷物をあらかた整理し終わった頃、私はボスに呼ばれて部屋へ来ていた。
「どうだ…今日は楽しめたか」
「はい、お陰さまで。スクアーロにテディーベアと服を買って貰ってしまいました。」
「そうか……フン、もういい下がれ。」
「はい。ありがとうございました。」
後日知ることになる。
私とスクアーロがその日、めずらしく、偶然に日番だったのは、密かにこの二人の恋を応援していたルッスーリアと静かに見守っていたXANXUSの計らいであったことを。
・
・
・
「名前、どうしたんだ?」
「ん?…私ってみんなから愛されてるなって実感したの。」
「…一番愛してるのはオレだぜぇ。」
「ふふっ、わかってる。」
ありがとう。
私、今ものすごく幸せだ。
end
20100330
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