朝起きてすぐ、ノックもせずに部屋の扉を開けたベルがオレに向かって一言。
「スクアーロ、お前最低」
「あ゛ぁ??」
訳わかんねぇぞぉ!、と言って(叫んで)オレはベッドに寝転ぶと、ビュンと音がして頭の両側にベルのナイフが刺さっていた。
もう少しでオレに刺さるところじゃねぇかあ!
「う゛お゛ぉい!どう言うつもりだベル!!」
「王子、お前が名前を泣かせたこと知ってんだからな」
ベルはそう言いながら、どんどんオレに向かっていくつものナイフを投げて来る。
あああ、危ねぇえ゛!寝起きにしちゃあ、よく避けてるんじゃねぇのか!?
「名前が泣いただと!そいつはどう言うことだぁあ!!」
「自分の胸に手 当てて考えてみろよ、このカスアーロ!」
「んなぁ゛!!」
またビュンビュンと音がしてオレのすぐ傍の壁にナイフが突き刺さった。
マジで危ねぇぞぉぉ…
「オレは知らねぇぞお!」
「そう言ってんのも今のうちだぜ、ししっ」
ボスからそれについて話があるんだってさ、と独特の不適な笑い方で、ベルは扉を開けっ放しにしてオレの部屋を出て行った。オレは不意に寒気に襲われた。
ボスは名前を甘やかしている。…と言うか、普段のボスを知っているやつらが名前と一緒の時のボスを見たら、驚いて声も出せないと、オレは思うのだが…。
二発…いや、十発は覚悟しといた方が良さそうだなぁ…
「はぁ…」
嫌でもボスの命令には絶対服従だからな。オレは仕方なく、着替えてからボスの部屋へと行く。
「お呼びかぁ、ボス」
ヒュン、とボスの扉を開けた瞬間に音がした。そして、頭に重たい衝撃が…ワインボトルだ。幸い血は出ていないようだが…
「ザンザス!てめっ「次は無いと思え」…はぁあ??」
ザンザスまでもが勘違いをしていやがる。これはどういうことだぁ?
出てけ、と言われて再びボトルを投げられそうになったオレは、おとなしくボスの部屋の扉を閉めた。一体全体どうなってやがるんだぁ!オレは名前を泣かせるようなことなんてしてねぇぞお!
「ぁあ!スクアーロ!!」
オレの名前を呼ぶ声が聞こえて、振り向くとそこには張本人の名前が居た。
「スクアーロ、ベルに何かされてない?ボスに何かされてない?」
「もう遅いぞお!ベルにもボスにもお前を泣かせたとかで、やられたぞぉお゛!!」
オレがそうコイツに向かって叫ぶと、名前はとても申し訳なさそうな顔になって、俯いた。
おいおい、これこそオレがコイツを泣かせてるんじゃねぇのか!?
「お、おいぃ…泣くんじゃねぇ!誰もお前の所為とか言ってねぇ…」
「ごめんね、スクアーロ…私の所為なの、たぶん。」
「…? どういうことだ?」
名前の話によれば、この前の任務で敵の催涙弾に被弾して帰ってきた時に、あのカマが事を大きくしたらしく、勘違いが勘違いを呼んでこんなことになってしまったらしい。
まったく…損な役回りだぜぇ…オレは(後であのカマ、絶対シメてやる!)
「だから、本当にごめんなさい!」
「…別に大したことねぇぞぉ。」
「え?…でも…」
「オレは名前を泣かしてない、その事実がわかってよかったぜぇ!」
「ありがとう、スクアーロ!大好きーー!」
「う゛おぉ!」
いきなり抱きつかれて、その勢いで倒れそうになるがオレは踏ん張って、名前を受け止めた。
う゛お゛ぉい!損な役回りだとか思ってたがこれはこれでいいかもしんねぇなあ゛!!
「おい。」
コオォォォオォオォ―――
後ろから声がしたと思ったら、憤怒の炎を右手に灯したザンザスが俺たちを睨みつけていた。
「(オレの)名前から離れろ、このカスが!」
「ざ、ザンザス!! ちょっと待て!これは…違うんだあ!」
「黙れ、カスザメ…かっ消す!」
end
「名前何とか言ってやれぇ!」
「ボス、炎をしまって」「あぁ?」
「じゃないと嫌いになっちゃうからね!」
「…!」「(助かったぜぇ…)」
20100613
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卯魅様へ相互記念
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