ガチャリ、と談話室の扉が開けられて一人の女が入って来た。
「ベルしか居ないのか…」
「俺しか居なくて悪かったな。」
「いや…悪いとかそう言う訳じゃないが…」
ルッスーリアを知らないか、と訊ねられて知らねぇよ、とベルは答える。
「なんだ?」
「んー」
その日の彼女はいつもと違った。
どこが違うのか、と問えば髪型だ。
「どうしたんだ?」
「白いな…」
「……何見てる。」
彼女の髪は思わず撫でてしまいたくなるようにつやつやで、スクアーロにだって負けないくらいさらさらしてる。
今日の彼女は頭の高い位置で髪を一つに束ねている。
俗に言うポニーテールってやつだ。
「ししっ、名前の首筋ぃ〜」
「はぁ?」
いつもはその黒髪で隠されている彼女のうなじや首筋が今日は外気に晒されていて、はっきりと見ることができる。
「お前の白い首に真っ赤な血をさ 出してみたらきれいだろうなってな。ししっ。」
「………」
「驚いただろ。」
「別に…」
「べつにって何だよ?」
「…」
「黙るなよ、王子が聞いてんじゃん。」
さらさらと黒髪が彼女の動きに合わせて靡く。
ベルはその様子を見ていた。
「ただ、」
「ただ?」
「私も丁度、おまえのきれいな首に真っ赤な輪を作れたらなって思ってただけだ。」
「!」
「引いただろ、今。」
「そんなことねぇよ。むしろ。」
「むしろ?」
「王子とお前が同じこと考えてんだなぁって思って驚いただけだし。」
「…そうか。」
そう言って白い君の首筋に俺はナイフを突き立てた。
end
20100525
20130606 修正
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白い君の
好血者同士の会話。
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