任務報告まであと少しきみの隣で今日もまた過ごす。
明日もきみと、もっと一緒にいられますように。
きみの傍で笑ってられますように。
「…なぁ、名前オレが悪かったさ。」
「……ふんっ知らない!」
きみの言ったことには敢えて答えないでいる私。
素直と言う言葉にはほど遠い、そんな私。
「…そんなに怒ってるんさ?」
「……(ツーン)」
「…返事してくれよ、名前…」
「……(ツーン)」
「…オレが悪かったさぁ。」
「……(ツーン)」
「…名前。」
私はきみの言葉を無視する。
するときみはガクリ、と肩を落とした。
そのきみの姿は端から見れば気の毒な程に落ち込んで見える。
「…何で無視なんだよ……オレ泣いちゃうさぁ!」
「……あんたみたいなバカ兎はずっと泣いてなさい。」
私がきみにそう言うと「やっと反応してくれたさ!」と言う。
しかし、きみの表情は曇ったまま。
その挙げ句、泣きそうな顔。
「…そんなに名前は、」
きみはそこで言葉を切ると。
少し顔を俯かせた。
「―――オレの事が嫌いになったんさ?」
「……嫌いよ、大っ嫌い!」
私は俯いたままのきみに向かってそう叫んだ。
二人だけの部屋に響いた私の声は静かな部屋に吸い込まれるように消えて行った。
ほんとうは…
ほんとうは、きみの事が好きなのに。
私は、きみの事が何よりも大好きなのに。
どうして素直になれないんだろう。
何故きみに、こんな言葉を言ってしまうのか?
「……ラビなんて―――だいきらい」
そう呟いた私。
この言葉はほんとは嘘。
素直になれない私が嫌でそんな私が一番、大嫌いなのに。
ギュッ…
きみにそっと抱き締められた。
え、何で?
「や、やだ!離しなさい!!」
「嫌。絶対離さない。」
私、きみにあんな酷い事を言ったのに。
何で、どうして、何故なの?
何故きみはこんなにもやさしく私を抱き締めているの?
「止めて、離して!…嫌いって言ってるでしょっ!!」
私はきみの腕の中でじたばたと抵抗を繰り返すが、そこは男と女の力の差。
所詮、相手はきみ。
男の子の力には勝てない。
「オレは名前が好きさ!大好きなんさ!!」
「…っ!!!」
きみの私を抱き締める力がより一層強くなる。
「名前、ゴメン。オレが悪かったさ」
「……っ」
「だから、そんなに悲しそうな顔しないでほしいさ…」
「……ら、びぃ」
今度は私からきみの首へと腕を回した。
そしてきみの胸へと顔を押し付け泣いた。
「だから、オレを嫌わないで…」
「……っく、ひっく…嫌いになんてなれない、よ。」
「…名前……」
「……私、の方こそ…ひっく…ごめ、んっ」
目から溢れ出した涙が絶え間なく頬を伝ってきみの服へ染み込んでいく。
「名前が泣いてるとオレも悲しいさ…」
そう言って、きみは私の涙を服の袖で拭ってくれる。
その手はとてもやさしくて私の大好きなきみの手。
「……っら、び……ラビ…ひっく…だいすき、よ。」
「…オレも大好きさぁ。」
任務報告まであと少しだけど、私の目は赤いまま。
「名前には…さ、ずっと笑っててほしいんさ…」
「……うんっ」
「どんな時でも、いつでも…オレの傍で。オレの為に。」
「…!」
きみの隣で今日もまた過ごす。
明日もきみと、もっと一緒にいられますように。
「……はい。」
きみの傍で笑ってられますように。
end
20100520
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