「俺は…ほんとうに、名前の彼氏でよいのだろうか……」
「え?」
「俺は、お前のことを全然分かってやれない…今日だってカラ回りしていただけだ。ごめんな」
「そんなことないよ」
いつも自信満々で、どこからそんなに溢れ出てるのかってくらい自意識過剰なのに、今日はまたいつになく自信がないね。
「私が猫舌で、寒がりで、ハサミだけは左手なのにお箸とか毛筆は右手を使うこととか、そういうとこを知ってるのはカラ松くんだけ」
「そう、か…?」
うーん、今挙げた項目じゃあやっぱり頼りないよね。私も言ってて不安だったもの。いつもはキリッと鋭い角度をした眉が、しょぼんと下がってしまってる。ううう、こんな悲しげな顔はしてほしくないんだけど。
「私のことをちょっとしか知らないってカラ松くんは言うけど、私だってカラ松くんのことは、私の前にいる時のカラ松くんしか知らないよ」
「う、うん…?」
「でも、ちょっとしか知らないってことは、逆に考えればちょっと知ってるってことでしょ?」
「なるほど…そうとも言える…」
「だから、知ってることには変わりないんだよ!」
「そうか!」
そうやって白い歯を見せて笑ってくれるカラ松くんが私は『大好き』なんだよ、ってことは、まだ君は知らないんだろうなぁ。勇気が出たら、今度伝えてみよう。
だからその時は、私のどんなところが好きなのか、カラ松くんの口から教えてくれると嬉しいなぁ。
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20160110
20170929加筆
title by サンタナインの街角で(http://santanain.xria.biz/)
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