※学生松
あー もう、ごめんなさい。自分を装っていないと恥ずかしくて人と話せない病気なんです、ごめんなさい。自信に満ちた私を演じてる時はなんでもできちゃうような気があるんですけど、今は、ほんとそういうんじゃなくて、え、普段の私?……あぁもちろん演じてますよ、花の女子高生の私をね。松野くんも演劇部ではそれぞれ、割り当てられた役を演じてますよね。『演じる』って素の自分を他人にさらけ出すことをしなくてもいいので、すんごく楽じゃないですか?
ほんと、どうしてこんなに私は自分に自信がないんでしょう。悩んでたんですけど、生憎答えは出ないもので、もう悩んでいるのも面倒くさいし、自信に満ちた女子高生の私を演じることで学校生活が円滑になるんだったら、それでいいかなって。だって、こんな自分に自信がなくて根が暗くてネガティブで心配性な女、面倒くさいでしょ?松野くんだって、日直じゃなきゃ自分から私に関わりたくないでしょ。
あ、ごめんなさい、本当に喋り過ぎました。私、人との沈黙に耐えられなくて、くだらなくてつまらないことを、ついべらべらべらべら喋り過ぎちゃう癖があるんですよ。あー そろそろ口閉じますね。今日のこと、どうか忘れてください。本当に、申し訳ありませんでした。あ、あの 日誌は私が書いておきますので、松野くんは先に帰ってくださって結構ですよ。ほんと、あなたの貴重な時間をこんな私のために割いてくださってありがとうございました。本当に申し訳ありませんでした。あ、もちろん、先生には松野くんもきちんと日直の仕事をしたと伝えておきますので、それでは、さようなら。私は戸締まりをしてこの日誌を職員室に提出してから帰りますので、ありがとうございました。さようなら
「なんだったんだ…あの子…」
「さぁ? でも、カラ松兄さんと同じ演劇部の子みたいだね」
「同じ演劇部…? あんな子は見たことがない」
「えっ?」
「えっ、」
夕暮れに悪夢をみるひと
ふたり
ふたり
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20160106
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