風呂上がり、何となく街をぶらぶらしていると、黒髪の長髪と白いペンギンの後ろ姿が前を歩いている。
「桂さーん、エリザベスさーん!!」
「ん…その声は?」
『名前さんじゃないですか、どうかしたんですか?』
私が大きめの声で呼びかけるとくるりと二人は振り向いてゆっくりと私に寄って来た。
「あぁ…いえ別に。二人の後ろ姿が見えたものですから…」
「そうだったのか!」
桂はきょろきょろと回りを見てから言った。
「銀時は居ないのか?…いつも一緒に居るだろう…?」
「あー…銀時さんは夏風邪こじらせてるんですよ。」
それで新八さんの家で看病してもらってるんだ、と続けると「そうだったのか…それじゃあ近いうちに見舞いに行こう。」『それがいいですね』と、桂さんはエリザベスさんと見舞いの品は何がいいかと話出す。
やっぱり、桂さんはやさしいんだなぁって。その様子を見ながら、私はそんなことを考えていた。
「それにしても最近暑くなってきましたねぇ…」
「そうだな。俺もこの髪がうっとうしくてな…切ろうかと思ってるのだが…」
「えっ、桂さんそのきれいな髪…切っちゃうんですか!?」
「そうだ…名前はどんな髪型が俺には似合うと思う?」
「…そうですねぇ…」
私は短髪の桂さんを想像してみたり、銀時さんのようなパーマも想像してみた。だけど…でも。
「…桂さんはそのままの髪型が一番ですよ。」
「む…そうか? 名前がそう言うのならそうかもしれないな…」
『そうですよ、桂さんはそのままが一番かっこいいですよ。』
「おっ…エリザベス。お前もやはりそう思うのか…」
桂さんは顎に手をついて目をつむり考える格好をした。そして、頭の上に電球が点灯した様にパッと顔を上げると
「そうだな。暑さはがまんすることにしよう。」
「それじゃあ、髪はそのままなんですね?」
「そうだ。俺はこの長髪スタイルを貫くぞ!」
「よかった…」
私は何となく安心した。(だって、長髪じゃない桂さんなんて、桂さんらしくない…よね?)こっそりそう思うも、髪型は個性じゃない!って誰かに言われたことを思い出した。
「ところで名前は風呂上がりか?」
「え…どうして分かったんですか?」
私がそう言うと桂さんは、そっと私の髪に触れた。え、え、え!!
「先ほどから、良い香りがするからな……シャンプーの、」
そして、桂さんは私の髪をさらりと手櫛の要領でといていく。何だか恥ずかしかったが、気持ちがよくて目を閉じた。しばらくすると、その手の動きが止まったのでゆっくりと目を開けた。
「…桂さん?」
「…あぁ…すまない名前。お前の髪が触り心地よくてつい…」
「あはは…別にいいですよ。」
私が笑うと桂さんも笑った。
「そうだ名前。」
「何ですか、桂さん?」
「シャンプー何使ってるんだ?」
「あぁ…私が今使ってるのは―――」
いつか。
私とあなた、同じにおいで街を…あなたの隣りを歩けたらなぁって。
end
20100722
20101229 再UP
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夏休み企画3
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