剣城side



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「剣城、行ったぞ!」

「っ、分かってますよ!松風!」

キャプテンからパスを貰った俺は、前から走って来ていた影山を上手くかわし、松風へとパスを出した。

雷門中サッカー部。

二つのチームに別れ、試合形式で練習をしていた。

そんな、いつもと何ら変わらない風景。

帰りに、あんな事が起こるだなんて、誰も想像すらしなかった…。

練習が終わり皆で部室で着替えていると、松風が俺に聞いた。

「剣城、今日この後時間ある?」

練習終わりで多少疲れてはいた。

だが、何か相談事でもあるかの様な松風の真剣な顔に俺はokの返事をした。

「あぁ、大丈夫だ。何かあったのか?」

「ちょっとね…。詳しくは、帰りに話すよ」

「…そうか」

少々気にはなったが、帰りには分かると思い、それ以上は聞かなかった。

帰り道、松風と並んで二人歩いていた。

疲れているのか、それだけの理由かは分からないが、重過ぎる沈黙。

耐えられなくなり、俺が先に口を開く。

「なぁ、松風。話したい事って何だよ」

「あっうん。実はね…う゛っ!!」

「…え?」

松風が話し出した矢先、聞こえた呻き声。

直ぐに隣を見た。

松風は倒れていた。

「松風っ!松風ぇ!!」

松風が頭を殴られて気を失っている事を理解したが、時既に遅し。

「…がはっ!!」

周りにいた黒服の人間達に気付いた時、俺も頭を殴られ気を失った。



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「…んんっ」

目を覚ました。

俺は知らない教室にいた。

いや、“俺達”と言った方が正しい。

サッカー部員達がいたからだ。

頭がズキズキと痛い。

暫くすると、意識がハッキリしてきて、倒れる前の事を思い出した。

誰かに、頭を殴られて…

「うぅ〜ん…」

隣で倒れていた松風が目を覚ました。

「松風、お前頭痛くないか?」

「剣城!ちょっと痛いけど、大丈夫!剣城もあの時…?」

「あぁ…一体誰がこんな事を」

浜野先輩が目を覚ました。

「んぅっここは…?確か俺、練習の帰りに誰かに頭を殴られて…」

「俺もなんだ。つーかドア開かねぇぞ」

倉間先輩はこの部屋に唯一あるドアを開けようとしていたが、開かない。

どうやら外から鍵が掛かっているらしい。
部屋の中を見る限り、俺達サッカー部員の他には誰もいない。

…閉じ込められたという事か。

「皆落ち着け!まず、今の状況を整理しよう」

三国さんが全員に向かい声を掛けた。



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