「でさー! 楓がな、お父さん仕事頑張ってねってよ、くっー! 可愛いだろ可愛いだろ?」
口に含んだマヨネーズまみれのご飯を飛ばしながらフォークの先を此方に向けて笑顔で話すおじさん。
こんなに可愛いおじさんを見れるようになったのは本当つい最近。ちょっと前まではお互いここまで仲良くは無かった。というより距離があった。
だからと言って今が仲良しこよしのヒーローコンビというわけではない。そう仲良しこよしを通り越した関係なんだが。
「……おじさん、口に含んだまま話さない、はしたないですよ。」
手元のナプキンで口許のマヨネーズを拭ってあげる、少し乱暴に拭いたからかおじさんは眉を潜め何か言いたそうにむぐむぐとしてる。
「っぶは! もっと優しく拭いてくれよ。」
「はいはい、というかおじさんのろけ話を僕に聞かせるって……どういう神経持ち合わせてるんです?」
眼鏡を外しため息をつくとおじさんははっとしたのか慌てて「あ、あー……わりぃ。」と頭をかいて謝ってきた。
「僕は貴方を好きなんです、娘さんが可愛いのも分かりますが……他の人の話は、あまり聞きたくないです。」
フォークを持たない彼の左手に右手を重ね、覗きこむように顔を近付けると彼は目を見開き眉を下げ頬を赤くさせた。
「……虎徹先輩、」
「あ、あぁ……おう、んっ。」
そんな彼に何かいけない心がざわつきぬるりと唇を啄むと、マヨネーズの味がした。
「っ、バーナビ……ぃ、んぁっ。」
「油っぽい、」
僕はぺろりと拭き取るように自らの下唇を舐めるとその姿を見たおじさんはなんとも言えない顔をしぽつりと言った。
「マヨネーズ好きなんだよ……んなこと言うならチューすんな!」
するとすぐに彼の右手に握られていたフォークが僕の左頬を突き刺してきた。
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フォークを刺すのも娘の話をするのも、照れ隠し。
二人でいるだけでテンパっちゃうおじさん
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