兎→→→→虎
「おじさん知ってますか?」
隣に座ってきたバーナビーに俺は何か嫌な予感がした。
「なんだよ! ちょ、近くね?!」
ずずずいっと迫る若いイケメン、ソファーは三人は余裕に座れる大きさなのに虎徹は隅へと追いやられる。
「知ってますか先輩、ウサギは雄雌関係無く……性交するんですよ。」
バーナビーのギラつく瞳が射抜く、そしてウサギとは思えないほどの気迫と押さえ付ける腕力に虎徹は目を游がせて応えた。
「な、なななな……バニーちゃんったらだいたーん! そして離して。」
「ウサギは雌のフェロモンを持った雄のウサギも食べちゃうんですよ。」
逃げるためにふざけても真顔で受け流される、いつもならバニーちゃんと言われるのを嫌がるはずなのだがその表情は眉毛一つ動かない。
「あはは、バニーちゃんは知識人だねー若いのに凄いなーいやー離してくれないか? 何か怖いんだが。」
「おじさんからはそんなフェロモンが駄々漏れでしてね。」
腕を拘束する手を左手だけで一つにまとめ、空いた右手で
ゆるりと頬を撫でられる。
「あはは、加齢臭かなー最近娘にも嫌がられてて……あっ。」
「……今日こそは逃がさない。」
自分の上に重なる影に息を飲んで目を伏せるともう逃げる余地は何処にも無かった。
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ウサギは雌のフェロモンだかなんだかを雄につけると雄でも掘るそうです。
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